グラウンドに怒号が響き、選手たちが委縮する。小中学生の野球チームにいまだに残っている風景だ。今春に行われたWBCでの侍ジャパンは、それと正反対。笑顔にあふれ野球を楽しむ姿を見せてくれた。その理想像を追い求め「楽しさ」を伝えようとチームをつくった元プロ野球選手や、ノンプロで活躍した選手たちを追いかける新連載。第1回目は近鉄、楽天のエースとして活躍。MLBのマリナーズでも実績を残した岩隈久志氏がオーナーを務める青山東京ボーイズを紹介する。 文=椎屋博幸 写真=BBM 
楽しみながら、野球を考えながら、元プロのオーナー、監督から愛情を受けている青山東京ボーイズのナイン
令和の野球をやる
兄弟2人が急いで河川敷の土手を登ってくる。日差しが照りつける朝8時40分。「おはようございます」と元気な声であいさつをもらった。
「練習がめちゃくちゃ楽しいです。ほかのチームに所属していたら聞けないような話もたくさんしてもらえます」
中学3年生の兄のほうがそう答え、「すみません、お先に失礼します」と笑顔でグラウンドへと走っていった。そのグラウンドには、マリナーズなどで活躍した岩隈久志氏、
西武などで活躍し、楽天などで20年以上コーチを務め、クラーク国際高仙台キャンパスの女子野球部などで指揮を執った
広橋公寿氏が待っていた。
青山東京ボーイズ。岩隈氏がオーナー、広橋氏が監督として2022年5月に発足。野球が大好きな子どもたちに、ずっと好きでいてほしい。そしてプレーするからには「楽しく」野球をやってほしい、という思いから岩隈氏がチームを立ち上げた。
「僕自身、野球は楽しまないと意味がないと思っています。怒られながら野球をやっても楽しくないですよね。楽しく、そして野球を考えてプレーしてほしいと思っています」
広橋監督も・・・
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