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【90's FILE】ダイエー・低迷期から徐々に希望の光が 福岡移転11年目に悲願達成!

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王貞治監督[写真左]の下、優勝経験者・工藤公康[同右]らの力も借りて強さを磨き、1999年についにリーグVからの日本一を果たした


福岡ドーム移転で戦力を一新


【90年代成績】581勝708敗26分勝率.451(リーグ5位)

 90年代も80年代の低迷を引きずったままBクラス生活が続いたが、最終年の99年にはついに、王貞治監督の下、悲願の初優勝を成就させる。

 田淵幸一根本陸夫両監督が率いた前半5年間は、受難のシーズンが続いた。ダイエー2年目の90年は球団ワーストの85敗を喫し歴史的惨敗に終わる。助っ人選手が指揮官と衝突し退団するなど、不協和音も浮き彫りとなった。巻き返しを図りオフには阪神と4対5の大型トレードを敢行。移籍組の大野久が盗塁王を獲得し機動力野球へと転換するも、5位止まり。田淵監督最終年の92年は佐々木誠が首位打者&盗塁王、ブーマーが打点王を獲得するなど打線の奮起で4位に。門田博光が23年間の現役生活に幕を閉じた。

 根本監督が就任し、福岡ドーム元年となった93年は、パ・リーグ新記録の250万人近い観客を動員したが、最下位に沈む。広いドームへの移転で本塁打数は前年の139本から75本へ半減したことも響いた。この年のオフ、“球界の寝業師”根本監督が本領発揮し西武との大型トレードを仕掛ける。佐々木、村田勝喜橋本武広が西武へ移籍し、主力の秋山幸二ら3選手を加入させた戦力一新は世間を驚かせた。

 主力を放出してチームの活性化を図った94年は、28年ぶりの開幕4連勝。トラックスラー、秋山、ケビン・ライマーの新クリーンアップで「攻撃型野球」を打ち出し、リーグ2位の69勝。勝率6毛差で4位となったが、大健闘だった。

「生卵事件」乗り越え悲願の初V


 95年、満を持して王監督が就任。西武からFAで工藤公康、石毛宏典、さらに大物メジャー・リーガー、ケビン・ミッチェルを獲得して期待は高まった。開幕当初こそ首位にも立って好調だったが、故障者が相次ぎ、トラブル続きのお騒がせ助っ人・ミッチェルは途中退団。最後は5位に終わったが、2年目小久保裕紀の本塁打王は光明だった。

 王ダイエーにとって最大の試練を迎えたのが96年だ。5月を終え借金14と大きく負け越し、不振に憤ったファンに生卵をぶつけられる事件が勃発。接戦に滅法弱く、最終的には最下位に。19年連続Bクラスのワースト記録を更新した。97年は4位に終わるも、徐々に戦力が整備されていく。3年目の城島健司が正捕手に成長し、不動の四番となった小久保は36本塁打を放ち打点王。チーム本塁打数もリーグ1位に飛躍した。この年、大物ルーキー・井口忠仁も入団している。

 徐々にチーム力が底上げされた98年、ついに21年ぶりのAクラス入りを果たす。武田一浩が最多勝の13勝、吉田修司が最多ホールドと投手陣が奮闘。終盤まで優勝を狙える位置にいたが、最後に粘れず同率3位に終わった。

 ついに念願のときを迎えたのが福岡移転から11年目のこと。4月に亡くなった根本球団社長の弔い合戦で快進撃を見せると、33年ぶりに前半を首位で折り返し、後半も劇的な勝利でダイエーとして悲願の初優勝を決めた。MVPの工藤、若田部健一永井智浩星野順治が2ケタ勝利を挙げ、篠原貴行藤井将雄の中継ぎ、守護神・ペドラザへとつなぐ勝利の方程式が確立。打線も勝負強く、サヨナラ勝利12試合と接戦に強かった。

■年度別成績

■90's HAWKS ベストナイン

■ベストオーダー
△は左打ち

打順/位置/選手名
1(左)△村松有人
2(遊)△浜名千広
3(右)△佐々木誠
4(三) 小久保裕紀
5(指)△吉永幸一郎
6(捕) 城島健司
7(一) 藤本博史
8(中) 秋山幸二
9(二) 湯上谷竑志(湯上谷宏)

■ベスト投手陣(先発6、中継ぎ3、抑え1)
△は左投げ

選手名/試合/勝利/敗戦/セーブ/防御率
<先発>
△工藤公康/119/49/37/0/3.18
吉田豊彦/186/49/63/0/4.30
 若田部健一/175/45/50/0/4.24
 武田一浩/80/32/27/0/3.77
 村田勝喜/100/40/45/0/4.02
 吉武真太郎/100/22/30/1/3.99

<中継ぎ>
 木村恵二/280/30/52/40/4.33
△吉田修司/192/8/10/14/3.06
 シグペン/53/3/3/20/1.94

<抑え>
 ロドニー・ペドラザ/48/3/1/27/1.98

■タイトルホルダー

<首位打者>
佐々木誠 92年 .322

<最多本塁打>
小久保裕紀 95年 28

<最多打点>
ブーマー 92年 97
小久保裕紀 97年 114

<最多盗塁>
大野久 91年 42
佐々木誠 92年 40
村松有人 96年 58

<最優秀防御率>
工藤公康 99年 2.38

<最多勝利>
武田一浩 98年 13

<最高勝率>
篠原貴行 99年 .933

<最多ホールド>
吉田修司 98年 21
藤井将雄 99年 26

<最多奪三振>
工藤公康 96年 178
工藤公康 99年 196

<最優秀選手(MVP)>
工藤公康 99年

<最優秀新人>
渡辺秀一 94年

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