今週はムーキー・ベッツ内野手を紹介する。昨季までは主に右翼手だったが、今季は二塁と遊撃を守っている。1992年10月7日、テネシー州出身。地元高校から2011年のドラフト5巡目でレッドソックスに入団。この年のドラフトは豊作で、1巡目にゲリット・
コール投手(現
ヤンキース)、
トレバー・バウアー投手(昨季
DeNA)、
フランシスコ・リンドーア内野手(現メッツ)などがいる。ベッツと同じ5巡目には今季ドジャースの開幕投手を務めた
タイラー・グラスノー投手がいる。
14年6月29日のヤンキース戦でデビュー。翌15年にはレギュラー。18年には打率.346で首位打者になり、ア・リーグMVP。20年からドジャース。昨季までメジャー10年間で1485安打、252本塁打、756打点。ゴールドグラブ賞6度受賞。右投右打。
スピードにパワーを付け
3・4月のナ・リーグ月間MVPに輝いた。期間中、全32試合に一番打者として出場し、打率.368、6本塁打、23打点と文句のつけようのない成績だった。ベッツは175cm、81kgと、メジャー・リーガーとしては小柄だ。それでいて4月終了時の長打率は.624。二番を打つ
大谷翔平の同時期の長打率.618を上回っていた。小さな体ゆえプロ入り時には評価が低かったが、スピードがあり、いまではパワーも備えているのである。
一昨季から昨季にかけて、4kg増量した。「体重が減るとパワーも落ちる。増量でパワーアップできたらいい」と、ベッツは語っていた。狙いは的中し、一昨季の35本塁打から昨季は自己最多の39本塁打をマークした。
メジャーでは過去、身長178cm未満でシーズン40本塁打は3例しかない。1929年に42本を放ったメル・オット(175cm、元ジャイアンツ)、30年に56本のハック・ウィルソン(168cm、元カブスなど)、53年に41本のロイ・キャンパネラ(175cm、元ドジャース)である。近年は選手の大型化が進んでおり、もし昨季、ベッツがあと1本打っていたら、70年ぶりということになっていた。
ちなみにオットは6度、ウィルソンは4度、本塁打王に輝いている。なお歴代6位の通算660本塁打を放っているウィリー・メイズは178cmで、シーズン40本塁打以上を6度記録している。
現役メジャー・リーガーではホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)が168cmで最も身長が低い。それでも30本塁打以上を2度マークしており、さらには17年にア・リーグのMVPに輝いている。投手ではマーカス・ストローマン(ヤンキース)で170cm。今季がメジャー10年目と、しっかり定着している。
取材・構成=樋口浩一 写真=Getty Images