チームの中でも孤高の存在である彼らのことをコーチや、一緒にプレーする野手、もしくは打席で対峙する打者はどのように感じているのだろうか。同じグラウンドに立っているからこそ肌で感じられるエースの“構成要素”とは。 日本ハム・黒木知宏投手コーチが語る小宮山悟『エースと呼べるのはいまも小宮山さんだけ』

02年にはメジャーにも挑戦した小宮山。NPB通算18シーズンで117勝141敗、防御率3.71
エースというのは「アイツでやられたらしょうがない」と言われる言動を日ごろから貫いている人間だと思いますね。周りからの信頼もそうですし、野球に対する姿勢に加えて、生活を懸けている必死さが周囲から認められている人。公私ともに、野球に情熱を注いでいる人間でなければ、エースではない。そこまで到達するには、もちろん時間もかかる。いくら結果を出していても、練習態度が悪かったり、私生活がハチャメチャだったらベンチだって「任せたよ」とは言えない。困ったときに監督やチームメートから「頼んだぞ」と送り出される存在ですから、人としての成熟も求められるのがエースだと思います。
僕の知っている中で一番のエースは
小宮山悟(元
ロッテほか)さんです。何をやっても、かなわなかったですね。それは成績ではない。野球に対する姿勢、野球に捧げるすべてがかなわなかった。立ち居振る舞い、練習姿勢、考え方など、全部が先を走っていた。僕は小宮山さんの背中を追っていたに過ぎないんですよ。追いつき、追い越せと思っていたプロ3年目に思い切って胸に飛び込んだことがありました。春季キャンプのときですね。初めて自分の思いをぶつけました。「僕は小宮山さんを抜きます」と。そのときに返された言葉は「何を抜くの?」。僕の言葉は何も明確ではなかった。抜くのは何年後なのか、何をしたいのか。トレーニングやグラウンドから離れても、野球のために突き詰めて行動する小宮山さんからすれば、僕の考えは浅かったということですね。
後から振り返ったときに小宮山さんと同じ年代に同じことができていたのかと考えると、できていなかった。結局、思考や準備は追い抜けなかった。僕は同じように、野球人としても人としても進めなかったと思います。僕が現役時代に接した中でエースと呼べるのは小宮山さんだけ。今はコーチとして
日本ハムにいますが、肩を並べるような存在の選手はいまもまだいないです。
DeNA・筒香嘉智が語る巨人・菅野智之、DeNA・三浦大輔『菅野さんとの対戦は毎打席ワクワクします』

エースとは対戦する打者からも一目を置かれる存在だ
ほかのチームで言えば、やっぱり
巨人の菅野(智之)さんですね・・・
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