昨年12月からトヨタ自動車を率いる桑原監督は就任1年目で頂点へ導き、選手たちの手によって東京ドームを舞った
新監督が着手したバントの徹底と精度
社会人野球の夏の祭典・第87回都市対抗野球大会はトヨタ自動車(豊田市)の初優勝で幕を閉じた。
昨年12月から指揮を執る桑原大輔監督(立命大)は就任以来、チームにいくつかの変革をもたらしたが、最初に着手したのがバントだった。
「2月のキャンプ中に
楽天の二軍と練習試合をやったのですが、相手の
平石洋介監督から『バントばかりですね』と言われるくらいサインを出して、今年はこういう戦い方をしていくんだ、と選手たちにメッセージを送りました。バントができない選手は試合から外したこともありますし、そうやって意識付けをしたことで、今ではネクストでバントの構えをしてタイミングを測る選手も出てくるようになりました」
また、選手とスタッフ間の風通しも良くした。桑原監督は「最終的に決断するのは私ですが、それまでは選手の意見を聞きながら物事を進めていくようにしました」と話す。大会MVPに当たる橋戸賞受賞の主将・佐竹功年(早大)も「やりたいことを尊重してくれたことで、各選手に責任感が生まれました」と振り返るように、選手たちはそれぞれの立場でチームのことを考えて、行動するようになったのだという。特にベテランの坂田篤彦(駒大)はベンチの盛り上げ役として声を出すのはもちろん、試合前には選手たちの前に立ってさまざまな話をするのが恒例となり、チームの気持ちを一つにする役割を担っていた。
「坂田をはじめ、今のチームのベテランたちは、私がコーチ時代に入社してきた選手たちなので、言いたいことを分かってくれているんです」(桑原監督)。
頂上決戦で主将が完封、最後まで堅実野球を展開
入社11年目のベテラン、32歳の主将兼エース・佐竹[右]は2完封を含む4勝を挙げ、大会MVPに当たる橋戸賞を受賞。バッテリーを組んだ元プロの加入1年目・細山田との早大コンビは相性抜群だった
強い信頼関係でまとまったトヨタ自動車は都市対抗の本大会でも実力をいかんなく発揮していく・・・
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