勝利だけを追い求めた「3度目の正直」

1年夏、2年夏の甲子園で先発しながら敗戦投手となっていた鳴門高の左腕・河野竜生。最上級生となり落ち着いたマウンドさばきを見せて、佐久長聖高[長野]との1回戦を2失点完投している/写真=田中慎一郎
徳島代表の鳴門高は今夏、県内の名門・徳島商高、池田高も成し得なかった5年連続出場を成し遂げた。喜びと同時に、プレッシャーも同居していた。森脇稔監督は言う。
「昨夏までは『若いチーム』と言ってきたが、今回は言い訳ができない」
昨夏の経験者10人を擁するチームに手応えを感じつつも、指揮官は「重いものが、2年間あった」と、一つの壁を乗り越えるまでは、不安が拭ぬぐえなかった。14年夏は2回戦で近江高(滋賀)に0対8、15年夏は1回戦で九州国際大付高(福岡)に2対8と初戦敗退。いずれも、先発で敗戦投手となったのが左腕・河野竜生(3年)だった。1年夏は4回5失点、2年夏は6回途中7失点と、試合を作ることができなかった。
試練は続く。今春のセンバツ出場をかけた昨秋の四国大会では、初戦で済美高(愛媛)に0対3で敗退。また、今春の四国大会も明徳義塾高(高知)に2対3と惜敗。河野は2戦とも完投も、白星に恵まれない。「甲子園で2回勝てず、秋と春に県大会で優勝しても、外で勝てないのは苦しかった」。悩めるエースに手を差し伸べたのが、森脇監督だった・・・
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