首都大学リーグ開幕戦では日体大打線を3安打に抑え、11奪三振の完封勝利。続く帝京大戦では延長タイブレークで敗れるも、13回20奪三振の強烈なインパクトを残した。各球団スカウトの評価は急上昇。都立高出身の151キロ右腕が今春、2016年ドラフト上位候補に躍り出た。 取材・文=上原伸一、撮影=松田杏子 
首都大学リーグの1試合最多奪三振記録は19[83年春 日体大・園川一美、96年秋 東海大・森中聖雄]。佐々木は帝京大戦で参考記録ながら20奪三振をマーク
巨人二軍戦の衝撃プロを目指すきっかけに
桜美林大の
佐々木千隼が「プロ」を意識するようになったのは大学2年の夏、8月に行われた
巨人二軍とのオープン戦がきっかけだった。この試合、2番手で登板した佐々木は3回を投げ、3安打無失点と好投。一軍経験がある選手を含む5人の打者から三振を奪った。
「プロ相手にどこまでできるか……という気持ちで投げたんですが、あの試合からですね。遠い存在だったプロが近くに感じられるようになったのは」 巨人二軍戦で得た手応えは成長への足掛かりにもなった。佐々木はその秋の首都大学リーグで防御率0.94をマークし、初めて十傑入り(3位)を果たす。さらなる向上心も芽生えたのだろう。リーグ戦途中からは「まったくやっていなかった」というウエートにも取り組み始める。「それまではもっぱらランニングで下半身を鍛えていました」。トレーニングにウエートが加わり、少しずつ厚みを増していった体は現在85キロ。入学時と比べると15キロ近く増えたことになる。体重増は球速のアップにもつながった。全身をバランスよく鍛えた結果
「140キロ台半ばくらいだった真っすぐの最速が5キロ以上アップしました」。
トレーニングとともに佐々木の体を作ったのが食事だ。ここ4季で2位が2回と躍進中の桜美林大には野球部の寮がない。そのためアスリートにとって重要な食事は各自でとっている。自宅から通う佐々木の食事面を支えているのが母・浩子さん。栄養士の資格を持つ。
「家ではいつもバランスやカロリーを考えたものを作ってもらっています」。佐々木の好物は肉だが、むろんこれに偏ることなく、食卓には魚や野菜を使った料理も数多く並ぶ。
相手が強いほど燃える反骨精神の塊
プロを目指す佐々木にとって幸運だったのは、昨年2月に元プロの
野村弘樹氏が桜美林大の特別コーチに就任したことだ・・・
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