若き力が暴れまくった優勝だった。ただ、その道筋をつくったのは、間違いなく、この2人だった。黒田博樹、新井貴浩。アラフォーの2人なくして、25年ぶりの歓喜はなかった。 黒田博樹・魂のピッチングを続けた“世界の右腕”
41歳の男が号泣し、それを見て仲間たちも泣いた。“もらい泣き”ではない。男が何を背負ってきたか知っているからこその感涙だ。
優勝の瞬間まではベンチ奥で険しい戦闘モード。一変、優しい顔になり、くしゃくしゃになった。その瞬間の心境を尋ねられると「いろいろ考えることもありましたし……たくさん考えることをしながら……いろいろ込み上げるものがありました」と何度も口ごもりながら答えた。
15年に
広島復帰。同年に復帰した新井貴浩と「このチームを強くしよう。優勝させよう」とずっと話していた。2人は、若手とベテランの垣根、野手と投手の垣根をなくし、全力野球、チーム一丸となった戦いをめざし、若手を言葉と背中で導いた。
自身、「普段はあまり運がないと思うが、今日に関してはあった」と話していたが、V決定試合に先発となったのは、“野球の神様”のプレゼントなのかもしれない。この日もまた、魂のピッチングだった。6回で交代。立ち上がりから飛ばし、失点もあったが、1球たりとも気持ちの入っていない球はなかった。マウンドだけではない。故意にも見えた死球を出した
巨人先発・
マイコラスに怒りをあらわにした。打席では徹底して粘って、勝利への執念を見せた。試合後、「今日で投げられなくなってもいいと思った」とまで言った。
緒方監督の後で胴上げもされた。満身創痍。「気持ちと体が一致しないことがある」とこぼすときもあるという・・・
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