市和歌山高は2005年以来のセンバツ出場を決めた。11年ぶりの春の原動力となったのは、新エースの台頭だった。同級生左腕が故障で離脱する中で自覚が芽生え、潜在能力を開花。3月20日に開幕する夢舞台でも持っている力を発揮するつもりだ。 取材・文=沢井史、写真=BBM 
市和歌山高は近畿地区の一般選考枠における最後の6番目で選出された。昨秋の近畿大会準々決勝では7回コールド敗退も、赤羽の6回1失点でまとめた好投が評価の一つとなった
“普通のピッチャー”に指揮官は才能を確信
180センチ72キロとスラリとした体形から放たれる直球は昨秋、140キロに届くようになった。新チーム結成以降に急成長。現時点では全国的には目立った存在ではないが、のびしろを感じさせる17歳・
赤羽陸である。「持っているものはすごいけれど、当初はストライクが入るか分からず、ヒヤヒヤするピッチャーでした。ブルペンではソコソコ投げられても、マウンドに立てば四球を連発したこともありました」。入学直後の赤羽について半田真一監督はこう振り返る。
野球を本格的に始めたのは小学校1年。6歳上の兄の影響で白球を追いかけはじめ、ポジションはショート。そのうち投手としてマウンドに立つ機会が増え、軟式野球部に所属した中学時代は主にピッチャーだった。ただ、小、中学時代は大きな大会に出た経歴があるわけでなく、いわゆる“普通のピッチャー”だった。
それでも入学直後、素材としては面白い存在であると指揮官は感じていた。やがて2年春に初めてベンチ入りを果たすと、夏の県大会では先発のマウンドに立つようになった。同じ学年の左腕・栗栖拓巳とマウンドを分け合い、新チームでの期待を一身に背負っていた
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