次々と明るみに出る球界の、いわゆる“賭け体質”。地に落ちた信頼を回復するため、今後どのように進んでいくべきなのか。球界の“ご意見番”江本孟紀氏に尋ねてみた インタビュー●井口英規[本誌] 最高の技術を競い合っているというプライドがない!
――“声出し”をはじめ、選手の日常的な賭けが次々発覚しています。
「いろいろありますね(苦笑)。野球賭博から端を発し、調査によってチーム内の声出しでカネを勝敗に賭けているのが分かった、というか分かっていたのを発表したということですよね。声出し自体は、僕らのころも
阪神時代の
加藤博一とか、ひょうきんで元気のいいヤツがやっていましたが、時々ですよ。チームの状態が悪いときに気合を入れ直すくらい。試合前はいきり立って、それどころじゃないですからね」
――今回のように、おカネを賭けることは。
「あるわけないでしょ、そんな幼稚なこと!ここ10年、いや20年くらいかな、球界がだんだん幼稚化しているんですよね。しかも、フロントに“こんな幼稚なことをするな”と注意をする人がいなかった。何でも選手の言いなりで、賭けを知っても、どうせ大きな騒ぎにはならないだろうと思っていたんじゃないですか。仮に知らなかったとしたら、それもおかしい。昨日、今日なら分かりますが、何年も前からでしょ。これを球団の人間が知らんかったとしたら、組織としてダメでしょうね」

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――球団からは、モチベーションを上げるため、ゲン担ぎ、ご祝儀といった言い訳がされています。勝つためにおカネを賭けなきゃやる気にならんのか、と思ってしまいます。
「とにかく発想自体が幼稚ですよね。プロは技術でおカネを稼ぐ世界ですから、まずは自分がどれだけ働くか。チームは二の次でいいんですよ」
――円陣の声出しということは、仲間内のギャンブルをお客さんがいる前でやっていたことになる。たぶん、ジュースを賭ける代わりに現金くらいの軽い気持ちなんでしょうが、確かに幼稚と言えば幼稚ですね。
「余力の部分、おカネがあまっているところからの発想ですよね。どうやって稼いだカネなのか実感がないんでしょう。それに、いまの世の中は小さなことでもたたかれるんですよ。知られたら、どう思われるか、どうなるのかも分からなかったんじゃないですか。小さな囲われた世界にいるからでしょうね」
――声出しくらいはいいのでは、という評論家の方もいます。
「いや、声を出すだけならいいですよ。おカネを賭けなきゃ。みんなそこを勘違いしているんですよね。試合の勝った負けたにおカネを賭けたら、もうバクチですよ。軽い気持ちかもしれんけど、どう考えてもアウトでしょ!それが分からんのが幼稚。それを問題ないと言う評論家がいるなら、そいつも指導しなきゃいかんね(笑)」
――すべて幼稚さが根底ですか……。
「そうそう。たとえばスコアボードにビジョンがあるでしょ・・・
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