11月10日、静岡県静岡市の草薙球場で、NPBへの復帰を目指す、戦力外を受けた元プロ野球選手たち総勢47人(投手33人、野手14人=オリックス・中山慎也は不参加)が集まり、12球団の首脳陣たちが見守る中、トライアウトを受けた。毎年数人しか復帰できない厳しい世界。それでももう一度夢をつかむために男たちが必死にプレーした。 文=椎屋博幸 写真=田中慎一郎 ベテラン左腕たちの光った投球術
昨夜から降り続いた雨が上がり、草薙球場には5200人のプロ野球ファンが詰めかけた。プロ野球選手としての最後の日になるかもしれない、その雄姿を見よう、そしてここから再起を果たす選手が出るかもしれないという期待を抱いて、グラウンドを見守った。
その気持ちは選手たちも同じだ。今季10月以降、戦力外を受けた選手たちが、もう一度NPBに戻るため、1球1球に魂を込めて挑んだ。
ネット裏には12球団の関係者、
中日・
落合博満GM、
DeNA・
高田繁GM、
日本ハム・
木田優夫GM補佐という豪華な面々もそろった。その中で10時からシートノックで守備を披露し、10時35分から、実戦のシート打撃が始まった。
真剣なまなざしで選手たちを視察するDeNAの高田GM[上]。中日の落合GM[中]は報道陣の質問に無言を貫いた。ヤクルトの小川シニアディレクター[下]は、3日後に鵜久森の獲得を決めた
これまでの1ボール1ストライクからの打撃ではなく、今回は一人の投手が3人の打者にノーカウントから始めるという、1イニング制で行われた。元DeNAでBCリーグ・群馬で選手兼コーチとして1年プレーした
菊地和正が最初に登板。3人に対し2安打を打たれる苦しい投球内容だった。菊地はトライアウト数日後、現役引退を発表した。
目を引いたのは37歳の
加藤康介と34歳でトライアウト3度目の
正田樹の両中継ぎベテラン左腕だった。2人とも熟練の投球で三者凡退に抑えた。2008年以来2度目のトライアウトとなった加藤は登板後すぐベンチ裏に現れ、汗びっしょりの中、満足感あふれる表情を見せた。
「真っすぐとスライダーだけで抑えました。
阪神に移籍したときには、阪神で引退しようと思っていました。でも、(戦力外を受けたときに)もう少しやれるんじゃないかと。もういいんじゃない?と言う周りの人もいましたが・・・
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