メジャー3000安打を達成したイチローは、自身が使用する道具にも徹底したこだわりを持っている。今回、大記録を打ち立てたバットを作り続けているバットクラフトマンの名和民夫氏に、その製作秘話を聞いた。 取材・構成=椎屋博幸、写真=BBM、Getty Images 同じモノを同じように作り続ける難しさ
私はイチロー選手のバットのほかにも、プロの方のバットを作っています。それまでバットを作っていた先輩の久保田五十一さんから受け継いだときから、一人ひとりのバットに対してプレッシャーを感じながら作っています。
その中で2008年オフに、イチロー選手とミズノ大阪本社でお会いし、久保田さんが「名和に引き継ぎたい」ということを伝えました。このときイチロー選手から「自分のバットの作り手が変更になるということは、少ならず不安がありますから、かなりの覚悟を持ってこの仕事に臨んでほしいです」と言われました。非常に身が引き締まる思いがしましたし、私のバット作りの根底に今でもこの言葉があります。

右が2001年メジャー入団当時のイチローのバット。左が2016年モデルのバット。形状はまったく変化していない
その後は、久保田さんから徐々に作業を引き継ぐ形でバットを作り始めました・・・
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