苦しい時期に「9回、工藤に任せれば」という存在になった。開幕一軍を逃しながらも、リリーフで頭角を現し、シーズン後半にクローザーの座に就いた。激しい優勝争いとなった9月には無失点と無双状態に。最速163キロの剛腕が君臨し、2リーグ制以降初のリーグ連覇へと導いた。 取材・構成=椎屋博幸 写真=宮原和也、BBM 
緊張しないという9回のマウンドで、確実に打者を抑え込んで、チームを優勝へと導いた
打者を見ながら投げる
8月2日のヤクルト戦(神宮)の1点差で藤川球児監督は9回のマウンドを、独立リーグ出身、しかも育成から支配下へと駆け上がった最速163キロ右腕に託した。1安打を許すも無失点に抑え初セーブ。ここからクローザーとして安定感抜群の投球で、優勝するまでの2カ月間で11セーブを挙げ、まさに救世主的な活躍を見せた。 ──優勝おめでとうございます。
工藤 ありがとうございます。
──今季はどういうシーズンだったでしょうか。
工藤 個人的には成長できたシーズンでした。去年の失敗があったからこその今シーズンだったと思います。
──昨年の失敗というのはどういうものでしょうか。
工藤 ストライクが入らず打たれたりする試合が何試合もありました。それが今季は少なくなったので、成長したと感じています。
──ストライク改善になったものとは何でしょうか。
工藤 しっかり打者を見ながら投げられるようになったことが大きかったと思います。打者を見られるようになったことで、マウンド上でも冷静に投げられるようになりました。
──打者を見て投げたほうが良いと思ったきっかけはあったのでしょうか。
工藤 去年1年間やってみて、ずっと目いっぱい投げていた感じでしたが、打者を見て投げることで気持ちが先行しなくなりました。
──いつも
岩崎優投手とキャッチボールをして、少しアドバイスを受けたという話を聞きました。
工藤 岩崎さんもそうですけど、本当にそれ以外でも、実績を残してきた先輩ばかりです。自分に向けた発言じゃなくても、いろいろなところで言われたことなどが、自分の中では響いたりしていました。その言葉を自分に照らし合わせながら取り組んできました。
──では今季、この試合があったから、活躍できた、というターニングポイントなどはあったのでしょうか。
工藤 実はそういうのはないです。本当に一試合一試合、抑えていったことが積み重なっていったというほうが当てはまると思います。シーズン始まるまでの目標が30試合だったんです。開幕一軍には入れずに遅れて合流し(4月5日)、中継ぎで投げていく中で30試合はいけるかなと思うようにはなりましたが。
──今年の工藤投手は、昨年以上にカットボールなどの変化球の精度がすごく上がっていると思うのですが。
工藤 精度が良くなったというよりも、変化球を使用する割合が増えて・・・
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