毎年のように次なる左腕エースの期待をかけられながら、殻を破り切れなかった男が、高卒7年目にしてついに覚醒した姿を見せつけた。優勝争いを演じるチームの先頭に立ち、先発陣をけん引する存在感を放つことができたのは、メンタルの充実にあった。 取材・構成=杉浦多夢 写真=桜井ひとし、BBM ※成績・情報は10月4日時点 カットボールの効用
高卒2年目の2021年に左肘の手術を受けて育成契約になるなど回り道も多かったが、24年に8勝を挙げてリーグ優勝に貢献。未来の左腕エース候補に名乗りを上げた。だが、さらなる飛躍を期した昨季はシーズン終盤の左肘痛もあって4勝止まり。「2ケタ勝利のためにも規定投球回」を胸に迎えた今季、先発ローテーションを最後まで守り切って有言実行を果たした。 ――今季の活躍に対しては、8勝を挙げて優勝に貢献した2024年とはまた違った思いがあるのではないですか。
井上 24年は追うべき人というか、菅野さん(
菅野智之、ロッキーズ)や戸郷さん(
戸郷翔征)がすごくチームを引っ張ってくれていて、その人たちがすごいピッチングをしたあとに登板が来ていました。「自分も負けないように」という意識で投げていましたけど、今年は特別な意識はないというか、「目の前の試合にどう勝つか」ということだけを考えて投げていたという感じです。良い意味で、自分にフォーカスできていたイメージですね。
――あらためて26年は個人としてどんなシーズンでしたか。
井上 自分にとってキャリアハイと言える成績を残すことができたシーズンなので、これからの野球人生の中で、「この年があったから」と思えるように、より活躍していくために良いきっかけとなる1年になっていくと思います。
――昨年のオフには規定投球回が目標、そこをクリアすれば2ケタ勝利も付いてくると抱負を語ってくれました。
井上 ずっと目標にしていた数字だったので、こういうふうに1年を過ごせば達成できるんだ、という感覚を覚えることができました。やっぱり1年だけ活躍しても選手としてはダメですから。何年もずっと活躍できる選手を目指しているので、この1年を次の年にもつなげていくことができればいいなと思っています。
――今季のスタートにおいては、昨年の悔しさがベースにあったのでしょうか。
井上 昨シーズンの終わりに左肘を痛めてしまいましたし、球速も夏場にかけて落ちてしまっていたので、まずは平均球速を上げることを考えていました。もちろんケガをしないような1週間の過ごし方、1カ月とかの長期的な過ごし方も考えながらやっていましたし、結果的に肘を痛めたりといったことがない1年だったので、そうした部分でも確立できてきたのかなと思います。
――昨年の反省も踏まえて、フィジカル面の調整やトレーニングもうまくいったのですね。
井上 トレーニングを見直して、重量をより上げていけるようにしていきました。(左肘を痛めた)去年の9月くらいから、それくらいしかできることがなかったので(苦笑)。プロに入ってから7年目になりましたけど・・・
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