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将来性抜群!! 2024ドラフト特集 注目選手CLOSE-UP【高校生編】

報徳学園高・今朝丸裕喜(投手) 甲子園で覚醒した151キロ右腕「悔しさは昨年よりも、今年のほうが何倍もあります」

 

今春のセンバツ甲子園をネット裏で視察したNPBの各球団スカウトの評価は「大会NO.1」で一致していた。ストレートの球質、変化球とも申し分なし。昨春と同じ準優勝だったが、その内容は大きく異なる。成長の春を過ごした。
取材・文=沢井史 写真=佐藤真一

187cmの長身からのボールには角度がある。甲子園から直線距離で約5キロ。近くて遠い地元・兵庫の伝統校で心身を磨いた


理想のストレートの軌道


 2年連続でのセンバツ準優勝。2個目の銀メダルを手にしても、今朝丸裕喜には晴れやかな気持ちはまったくなかった。

「昨年の銀メダルと金メダルを並べたかったですし、銀メダルは2個もいらないな、と。今年は本気でてっぺんを取る気持ちで戦ってきたので、悔しさは昨年よりも、今年のほうが何倍もあります」

 それでも今春、甲子園で残したインパクトは鮮烈だった。決勝までの5試合のうち4試合に登板し、24回1/3を投げ、15奪三振、5失点。四死球はわずか4個と抜群の安定感を披露。伸びしろに魅力を感じた、多くのNPBスカウトが「投手では、今大会NO.1」と評価した。

「大阪桐蔭戦で1失点完投(4対1)できたことは一番、評価してもらっていると思うんですが、自分としてはまだまだだと感じました。奪三振率は低いですし、ゼロに抑えた訳ではなかったので……」

 昨秋の近畿大会準々決勝で対戦した際に3安打を許した四番・ラマル・ギービン・ラタナヤケには、初回に死球を与えるも、以降の3打席は完璧に封じた。三番・徳丸快晴に対しても4打数無安打。7回までは強力打線をわずか3安打無失点に封じていたが、8回に二死を取った直後に一番・境亮陽に三塁打を浴びた。その後、1点を失ったが「8回は一番悔いが残った」と明かす。境の3回の第2打席では空振り三振。「(決め球の145キロのストレートは)糸が引くようにコースへビタビタに決められました」。好きな投手である広島森下暢仁の姿を追い求める、理想の球質だった。だが、第4打席では対応された。境からはこの試合、3本目の被安打。「あの三塁打は痛かったです。コースは良かったんですけれど、境君はストレートを狙っていたみたいです。初回に(境に)打たれた左前打も、ボールが甘かった。でも、次の打者からしっかり切り替えて投げました」。どんな状況も動じない。ボールに闘志を乗せているような気概を、今朝丸からは感じる。

「ピンチは絶対に来ると想定して投げていました。実際にピンチはありましたけれど、頭は冷静に投げられました」

同世代から受けた刺激


 4月上旬に行われた高校日本代表候補強化合宿。今朝丸はセンバツでの疲労を考慮され、実戦登板はなかったが、ちょっとした“答え合わせ”ができた。大阪桐蔭高・境も含め、自身が甲子園で対戦した愛工大名電高・石見颯真、健大高崎高・箱山遥人と、対峙した各校の中心打者が同合宿に招集され、宿舎ではセンバツの“振り返り”に花が咲いたという。

「決勝の初回に箱山君に打たれた左前打は、箱山君がうまかったです。ボール1個分外していたら空振りを取れていたと思い、箱山君も『1個分外れていたら三振していた』と。バットを伸ばし、うまく打てたそうです。6回に三振を取ったとき、2球目のフォークは『消えた』と。石見君は2安打したのはたまたまだと言っていましたが、インコースのボールに角度があって怖かったと言っていました」

 確認作業の中で、相手が張っていても打てない球をきっちり投げられることが、課題と痛感。また・・・

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