名前の由来は「聖地で輝いてほしい」。甲子園、神宮で日本一を経験。根底には気持ちの強さがあり、常勝チームのエースとして、2025年は数々の偉業に挑戦する。 取材・構成=小川誠志 写真=矢野寿明 
大学入学時は手術で出遅れたが、3年時に結果を残し、ドラフト候補に浮上。「プロ入り」への強い思いを持っている
クレバーな投球スタイル
最速152キロを誇る東都NO.1右腕・
中西聖輝がプロの世界を目指し、ドラフトイヤーに臨む。昨秋、中西は東都一部リーグで8試合に先発し6勝0敗、防御率2.22(リーグ2位)、56回2/3で53奪三振(同1位)と圧倒した。青学大は4連覇を達成し、中西は最優秀投手、ベストナインを獲得。11月の明治神宮大会でも、福岡大との初戦(2回戦)では7回1/3、3安打6奪三振無失点と好投。創価大との決勝では8回5安打11奪三振2失点。優勝を遂げ、史上5校目(6度目)の大学4冠に大きく貢献した。
明治神宮大会で最多安打記録(10)を更新したドラフト上位候補の強打者である創価大・立石正広(4年・高川学園高)には、決勝で2安打1打点を許した。大会2本塁打を放った立石も「中西投手は全球種でストライクを取れて、一つひとつがレベルの高いボールだった。隙がない、すごい投手」と実力を認める。力強いストレートにフォーク、スライダーなどの変化球を織り交ぜ三振を奪う。気迫を前面に押し出した強気の投球が真骨頂。
「自分は熱が入りやすいタイプなので、気迫を前面に出して、ピンチになってもガンガン攻めていきます。自分の得意とするボールを全力で腕を振って投げること、それが一番の持ち味だと思います」
青学大・中野真博コーチは、力投派だけではない、2つの顔を持つと明かす。
「打者を見て投げられることも中西の長所です。負けず嫌いで、真っすぐで抑えてやろうという心意気を持ちながらも『ここは変化球で抑えられそうだな』と思ったら、アイツは真っすぐのサインに首を振れる。変な意地みたいなのがなくて、勝利に最善を尽くすことができる。クレバーなピッチングもできる。
西勇輝(
阪神)のような投手になってほしい」
変化球で最も自信を持つフォークは、全国制覇した高校3年夏の甲子園、近江高(滋賀)との準決勝から投げ始めた。
「それまでフォークは試合でほとんど投げてなかったんです。準決勝の試合前、ブルペンで1回、挟んで投げてみたら、捕手の
渡部海(現青学大3年)が良い反応をして捕ってくれて。渡部に『いけるか?』って聞いたら『いけます』って言うので、その試合、多投したんです」
同準決勝で中西は9回4安打10奪三振、1失点完投勝利を収めた。それまで得意としていたスライダーに加え、新しい武器を得て、智弁学園高(奈良)との決勝では4回無死から救援し、6回5安打8奪三振無失点で胴上げ投手になった。
リハビリで見えた世界
『聖輝』の名前には・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン