みちのくの“怪物”をひも解く 韓国で得た4つの証言 証言1 衝撃の155キロ 今夏の岩手県大会準決勝(対一関学院高)で高校生史上最速の160キロを計測(写真)。韓国でもスピードは規格外だった。5―6位決定戦(対韓国)で今大会最速の155キロ。正捕手の2年生・森が前日のアメリカ戦での負傷により、韓国戦はベンチスタート。中道が最終戦にして初先発マスクをかぶった。「150キロ以上のボールを受けたことがなかったので正直、怖かった。左手に受ける衝撃はすさまじかったです。低めは何とか対応できますが、高めは一つ間違えると捕球できない」。大谷が5回に人さし指のマメを作ると、スライダー中心の配球に変更し、90キロ台のカーブも織り交ぜて、7回12奪三振と見事にリードした。敗戦投手にはなったが、高校最後の登板は収穫が多かった。
証言2 レーザービーム 登板機会がない試合では、DH、外野手として絶大な存在感を放った。予選第2ラウンドの韓国戦。5回裏無死一塁からエンドランをかけられ、三塁手・田村の頭上を越える左前打。三進を狙った一塁走者を、最速160キロの右腕からのレーザービームで刺す。進塁を許せば無死一、三塁のピンチだったが「ストライク返球」で救った。福岡
ソフトバンク・宮田善久スカウト部長補佐は「スナップスローで投げなければ、間に合わないタイミングだった」と絶賛。右肩に不安のあった高橋に代わり、この試合で小倉監督は大谷を左翼に抜てき。「走者二塁からワンヒットで刺すには大谷君だと思った」。グラウンド整備を挟んだ6回表に日本は相手ミスに乗じて4得点。大谷の強肩が流れを変えた。
証言3 4.17秒の俊足 高校通算56本塁打を誇るスラッガーとして名を馳せる大砲も、決して打つだけではない。足でも飯を食べていける。予選第2ラウンドのアメリカ戦で、象徴的なシーンがあった。3対3で迎えた6回表、田村の犠飛で勝ち越して、なおも二死三塁。一塁へのボテボテのゴロが相手の連係ミスを誘い、一時リードを2点に広げる内野安打とした。「4.17」。ネット裏に陣取るスカウトはバットに当たってから、一塁ベース到達までを計測する習慣がある。福岡ソフトバンク・宮田スカウト部長補佐は「あの体で、あれだけのスピードが出る選手はまずいない」と驚きの声を上げた。ジャパンの四番が残した打率.324、7打点の数字の裏側には、俊足も隠されていたのだった。
証言 素顔のSHOHEI 取材時は背筋をピンと伸ばし、相手の目を見て話す。日本チーム関係者も「ひと言で言えば良い子。口数は少ないが、素直です。受け答えもしっかりしている」と感心する好青年だ。“ダルビッシュ2世”と比較されてきた
藤浪晋太郎が、とっておきのエピソードを披露してくれた。「真面目と聞いていたんですけど、そうでもなかった(苦笑)。田村が関西ノリで鋭くツッコむんですが、うまくかわして対応していた」。藤浪が197センチに対して大谷は193センチ。「なかなか同じ目線の人と話す経験がなくて、最初は違和感があった。チーム合流初日に『デカ!』と言ったら、大谷は『イヤ、イヤ(苦笑)』と返してきた」。お茶目な部分と端正なマスクで、人気を集めることになりそうだ。