昭和4年創部という日本生命野球部の長い歴史の中でも、同一年度にドラフト1位選手を2名、輩出するのは初の出来事である。大卒2年目の小林誠司と、高卒3年目の柿田裕太は、まるで仲の良い兄弟のようでもあり、その実、日生を支えた息の合ったバッテリー。14年に敵同士となる前に、見事な掛け合いを見せてくれた。 取材・構成=坂本 匠 写真=前島進、BBM 年が明けたら敵同士早くも警戒心露わ 柿田裕太は松本工高時代の10年に、小林誠司は同大時代の11年にプロ志望届を提出し、ともに指名漏れを経験している。社会人野球の名門・日本生命の門を叩き、ドラフト1位の評価を得るまで、どのような月日を過ごしたのだろうか。 ――ドラフト会議から1カ月が過ぎようとしています。気持ちは1月からの新生活に向いていますか。
小林 ドラフト当時はまだ、日本選手権が控えていたので、すぐにそちらへ頭を切り替えていたのですが、選手権が終わり、考える時間が増えて、ようやくプロ入りへの実感が沸いてきました。今は会社に行きながらトレーニングを続けているのですが、体を動かしていないと不安。練習しているときだけ、さまざまなことから解放されています。
柿田 僕はまだ具体的な生活までイメージができない、というのが正直なところで、徐々に、だと思います。選手権後、練習量を落としていたので、これから合同自主トレが始まるまでにしっかりと体を作りたいです。
――日本生命からはさらに
吉原正平選手、
井上晴哉選手の2人が
ロッテから指名を受けています。指名選手同士でどのような話をしていますか。
小林 お互いに刺激し合いながら、頑張ろうという話はしています。
柿田 でも、僕たち2人は……。(
DeNAと
巨人)敵同士ですから……。
小林 柿田は、早くも自分のことを警戒しているんですよ。
柿田 しないわけにはいかないですよ。誠司さんには活躍してほしいって、心から思っていますけど……。
小林 『頭に投げる』って言うてたやん?
柿田 頭とは言ってないですよ(汗)。
小林 プロ野球は危険球があるよ?
柿田 だから頭はないですって。『内角に厳しく』って言っただけで。でも、それで当たったら知らない(笑)。
小林 誰に対してもそれくらい厳しく向かっていってほしいよ、柿田には。それだけの力があるんだからさ。
――2人のお話を聞いていると、優しいお兄ちゃんと、人懐っこい弟の会話のように聞こえますね。でも入社は、柿田さんが1年先ですね?
柿田 先輩です!
小林 入社してすぐは年上だと思っていました。なので、ずっとこちらが敬語。で、『年下です』って打ち明けてくれたのですが、僕、人見知りなので、すぐにタメ口は無理でした。
柿田 誠司さんは大学時代からドラフト1位もあると言われていた人。すごい人だと思っていたんですよ。
小林 絶対、思ってないな。でも、すごくありがたかったよ。柿田のそのキャラクターが。
――バッテリーを組んでいたからこそ分かるお互いの性格、プレーヤーとしての特徴を教えてください。
小林 柿田は真面目だと思います。向上心もある。高卒で苦労したと思いますけど、物怖じせずに貪欲に吸収していって、今年は投手陣の柱になりました。先発で一生懸命やってくれて、受けていて楽しかったです。
▲足を極限まで高く上げた、ダイナミックなフォームから最速145キロの直球で内角を突く強気の投球が身上。DeNA中畑清監督は14年の開幕投手(すなわち次期エース候補)を若手に託す方針であり、柿田も候補として期待される
柿田 構えた所には行かないですけどね(笑)。誠司さんは野球に真摯で、遅くまで1人練習するタイプで尊敬しています。僕は、いつも怒られていたんですけど・・・
この続きはプレミアムサービス
登録でご覧になれます。
まずは体験!登録後7日間無料
登録すると、2万本以上のすべての特集・インタビュー・コラムが読み放題となります。
登録済みの方はこちらからログイン