昨年オフ、新たにパワーシンカーを取得し、8球種の変化球を操る日本球界No.1の使い手・金子千尋。NPB現役選手も驚く球種を生みだすその握りをストレートも含め完全公開! ストレート まずは基本のストレート。ストレートの握りは縫い目の向きを気にしている。右ピッチャーのため自身から見て縫い目の向きが「く」の字になるように握る。「持っただけで分かります」(金子)
カーブ 人さし指と親指がボールの中心にくるように握る。このとき、手のひらとボールの間はスキ間を空けずにべったり。そうすることで手首が使いづらくなり、スピードが遅くなる。
シュート 中指、人さし指の第一関節の腹の部分を縫い目に掛け、ボールの上にポンと置くイメージで握る。そして、リリースの際にできるだけ体の内側から、顔の前からボールを出す。
スライダー(横) シュートの握りとほぼ同じ。ただ、人さし指と中指を縫い目の上にポンと置くのではなく、指の重心を少し外側に置くようにして握る。親指の位置はストレートのときとほぼ同じ。
スライダー(斜め) 人さし指と中指をくっつけて縫い目に掛ける。このときも縫い目の上に指をポンと置くだけでなく、指の重心を少し外側に置くようにして握る。
チェンジアップ チェンジアップというよりは中指と薬指でストレートを投げるイメージ。このとき、人さし指と小指はただボールを支えるだけ。投げる際はヒジを抜かず手のひらも上に向けない。
スプリット 人さし指を縫い目に掛ける。そして、リリースの最後に少しだけ人差し指に力を入れてボールに回転を掛ける。そうすることで、一瞬だけでも打者にストレートと思わせることができる。
カットボール 真っすぐの握りから反時計回りに縫い目2つ分回して握る。握っている感覚はあくまでも真っすぐの感覚と一緒。投げるときはしっかり中指に力を感じながら最後は中指で離す
※週刊ベースボール 2013年6月17日号掲載 新球種 パワーシンカー シンカーより速くシュートより若干遅くて変化が大きい球種。シンカーはサイドスローの投手がよく投げるボールで、その際は指を横に開いて握ることが多い。しかし、金子の場合は指を縦に開き人さし指と中指を縫い目に掛ける。投げるときに回内のタイミングを意図的に早くすることで、ボールが抜けることなくスピードを出すことができる。