チームを引っ張る立場になったからこそ、誰よりも強く“優勝”を思う。広島のエース・前田健太がいよいよ正念場の後半戦を迎える。首位・巨人とは4ゲーム差の3位。23年ぶりの優勝の行方は、右腕の投球に懸かっている。 写真=早浪章弘、松村真行 夢を夢で終わらせないために 
前半戦は苦しんだが要所は締めた。23年ぶりのリーグ制覇に向け、後半戦は腕を振り続ける
夢がまた幻に終わるのがつらい。だからだろう。前田健太は周囲が浮足立たないよう、はやる報道陣に何度となく「まだ先は長いですから」「まだ序盤ですよ」とクギを刺した。開幕から快進撃を続けるチームの中、勝負どころはまだ先だという姿勢を崩さなかった。
そんな絶対的エースがようやく、ギアチェンジが必要な季節の到来を感じ始めたようだ。前半戦最後の登板を終えた7月12日、
中日との試合後、薄暗いナゴヤドームの通路を歩きながら、言葉に力を込めた。「オールスターが明けてからは大事な試合が続く。そこで勝っていかないと意味がない。負けないようにしたい」
チームは交流戦での大失速が響き、前半戦を貯金4のリーグ3位で終えた。一時は首位独走態勢を築きながら、巨人どころか
阪神にもまくられ、首位・巨人には5ゲーム差、2位・阪神にも1.5ゲーム差をつけられた。ただ、前田からすれば想定内の範囲かもしれない。頂点を狙える位置で後半戦に入るのならば問題はない、と。後半戦は7月25日の阪神戦(マツダ広島)を皮切りに、5週連続で阪神と巨人を相手に先発する見通し。いよいよシーズンの行方を占う1カ月を迎える。この1カ月の重要性を理解するからこそ、必勝宣言で自らにプレッシャーをかけたわけだ・・・
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