06年夏の甲子園で初出場ながらベスト4まで勝ち上がり、準決勝では斎藤佑樹擁する早実と対戦した。あの夏を体感した榎下陽大の目には佑ちゃんフィーバーはどのように映っていたのか。 取材・構成=池田晋 写真=BBM。

▲プロでは斎藤とチームメイトとなった榎下。甲子園については深い話はしていないという
早実対大阪桐蔭の前で雰囲気がすごかった
僕が高3のときの鹿児島県は神村学園、樟南、鹿児島実業の私立が強かった。前年に優勝した神村を倒して甲子園に行くことが僕らの目標でした。大会が始まると、ライバルと思っていたチームがどんどん負けて、ベスト8のころには、初出場を目指す僕らが優勝候補の筆頭でした。クジ運も良く、最後まで強豪の私立と当たらずに優勝できました。
四番でキャッチャーの鮫島哲新、代打で沸かせた今吉晃一など、戦力はそろっていましたが、環境は厳しかった。レフトにはラグビー部、センター、ライトにはサッカー部がいて、グラウンドを広く取れないんですよ。いつもバントと投内連係ばかりしていました。
1回戦の高知商戦は、とにかく鹿児島勢として恥ずかしくない戦いをしようと思いました。次の試合が早実対大阪桐蔭の人気カードだったため、それを目当てに来たお客さんがたくさんいて、雰囲気はすごかったです。歓声でキャッチャーの声も、審判のジャッジも聞こえない中でプレーするのは初めてでした。この試合は9回途中まで投げて10安打を浴びましたが、野手の好プレーにも助けられて勝てました。
2回戦の香川西戦では高校通算2本目のホームランを打ったんです。完投したことよりも打ったことの方が印象に残っています。準々決勝の福知山成美戦は9回を投げ終えて2対2。ベンチに戻ったとき、監督に「この試合はお前に任せる。勝っても明日は下茂(亮平)に投げさせる。だからこの試合だけ頑張ってくれ」と言われました。僕が抑えれば何か起こるんじゃないかと思って投げたら、10回に鮫島がバックスクリーンに本塁打を打ってくれました。
ベスト4が決まったときはもうお祭り騒ぎです。夢のようでした。でも、翌日には早実との準決勝です。斎藤は甲子園ですごい人気だったので、そういうすごい相手と楽しんでやろうと言っていました・・・
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