この夏、高校軟式野球界のある一戦が世間を騒がせた。第59回全国高校軟式野球選手権大会、準決勝の中京対崇徳。延長50回、4日間に及ぶ10時間18分は日本歴代最長試合である。この球史に残る名勝負を制し、優勝投手に輝いたのが中京高・松井大河。高校軟式野球界でトップに立った右腕がこれから進んでいく道とは――。 取材・構成=三橋祐子 写真=佐藤真一(試合)、BBM 4試合計1047球
心の支えとなったのは大切な仲間の存在
――延長50回、手に汗握るすごい試合でした。大会終了後は取材も殺到したのでは?
松井 大会が終わって1週間くらいは忙しかったです。硬式野球は普段から取り上げられていますけど、軟式はなかなか露出がないので、今回のことで新聞やテレビにたくさん取り上げていただけて、うれしいなと思います。
――周りの方の反応は?
松井 みんな祝ってくれました。それと、「ヒジとか肩は大丈夫?」って心配をしてくれました。あとは、「どうやったらあんなに投げられるの?」って質問もされましたね(笑)。
――何と答えたんですか。
松井 自分自身を追い込まず、あまり深く考えずに楽しくやろうと思っていた、と。性格的に負けず嫌いですし、あとはなぜか冷静になれたんです。
――準決勝の崇徳戦は4日間にわたる大熱戦でした。1日、1日と疲労度も増していったと思いますが、まず1日目は?
松井 相手のレベルも高くてピッチャーも良かったので、(同点は)しょうがないと思っていました。それと、みんな(翌日の継続試合は)「16回で終わらせるぞ」って勢いだったので、自分もそれを信じて。

▲気が遠くなるようなマウンドだったが、仲間を信じて最後まで投げ切ったという
――しかし、2日目も決着はつかずに延長30回に達しました。
松井 予想外のことが起きたので・・・
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