
4年間、苦楽をともにしてきた明大のチームメートと歓喜の胴上げ
文=三橋祐子 写真=高塩隆 「病気で苦しんでいる人のためにも頑張りたい。いつもそう思っています」
明大野球部合宿所「島岡寮」の食堂内の大型テレビ前にイスを並べ、緊張の面持ちで善波達也監督、チームメートとともに発表を見守る。マウンド上では闘争心の塊となる
山崎福也もこの日ばかりは表情が硬かった。「試合より緊張しているんじゃないですか。こんな山崎はめったに見られません」と、その場にいたチームメートも冗談めかして笑うほどだった。
全員が固唾をのんで見守る中、「
オリックス 山崎福也 22歳 投手 明治大学」と
コールされると、歓声とともに拍手が沸き起こった。隣に座る善波監督、井上崇通部長と握手を交わし、ようやくホッとした表情を見せた。
巨人、
日本ハムの捕手として計12年プレーした章也さんを父に持ち、社会人のセガサミーで投手を務める福之さんは2歳違いの兄。小学2年のときに野球を始めたが、父親に指導を受けたことは過去に一度もないという。
中学では所沢中央シニアの四番・投手兼一塁手で活躍。しかし、名門・日大三高への進学を控えた中学3年の11月に脳腫瘍が見つかった。生存率10%の難病に侵され、「何で自分が」と絶望するほかなかった。
しかし、日大三高の小倉全由監督をはじめ、周りの人からの励ましの声で徐々に気力を持ち直していった。そして、また野球がやりたいという強い思いが奇跡を起こす・・・
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