
先発の能見は、フォークを有効に使って2回を3奪三振、無失点の好投を見せた
日本の力を連合軍に見る
前日、あまりにも淡白な攻撃に終始した侍ジャパンに対し、80年前の全日本のユニフォームを身にまとった
阪神・
巨人連合が、“ニッポン”らしい粘りの野球で、MLBオールスターチームを大いに苦しめた。
先にゲームを動かしたのは圧倒的なパワーを見せたメジャー軍団のほう。4回以降、阪神・巨人連合が繰り出す投手たちの、若さゆえの正直なボールをことごとくとらえた。4回に2点を先制した後の5回、2本の安打などで二死満塁とすると、まずは三番・ロンゴリアが
江柄子裕樹の初球、真ん中低めへの変化球をバックスクリーン右へたたき込むグランドスラム。「いい球をしっかりと飛ばすことができた」と笑顔を見せれば、続く6回には七番・ペレスが
秋山拓巳から、7回にはファウラーが
高木京介から、それぞれ直球をバックスクリーンにソロアーチ。これには連合軍を率いた
和田豊監督も「最近、バックスクリーン3発は記憶にない。
真っすぐで勝負したものは、ことごとく打たれた」と、そのパワーに脱帽するしかなかったが、打たれた若手投手たちには良い教訓となっただろう。
6回表を終えてMLBが7点をリード、勝負は決したように見えたが、ここで試合を捨てないのが日本のらしさ、か。6回に
上本博紀の適時二塁打で1点を返すと、7回には4番手・モラレス、5番手・プレビンスから打者9人で6本の集中打を浴びせて5点。8回にもノーヒットで1点を加えて1点差とし、9回裏には一死満塁、一打サヨナラまで迫った。
6回以降、8安打もあるが、何よりメジャーの投手の動くボールに順応し、22、35、28、18、31球(5回までは3回の16球が最大)と十分に見極めて、ミスを誘う粘りがMLBのブルペンを苦しめたように思う。「キーになる部分で確実にこなさなければいけない状況に追い込まれた」とはファレル監督の弁。連合軍が、侍ジャパンへ、メジャー攻略の手本を示しているようにさえ見えた。

注目のカノは1打席目に右前へ、2打席目に左前へと自在に打ち分け、2安打の活躍

MLBの2点リードで迎えた5 回、二死満塁の好機に三番・ロンゴリアがグランドスラム

7回には九番・ファウラーがバックスクリーンに叩き込み、MLBは14安打8得点

MLB先発のカプアーノは4 回1 安打の無失点投球。巧みなけん制でも坂本を刺した

捕手のペレスも6回にバックスクリーンに叩き込むアーチでメジャーの力を見せた

TG連合も7回、大田の2点適時三塁打などで5点を挙げるなど1点差まで迫ったが……

大和は3安打1四球で全打席出塁としぶとさを見せた。守っては3年ぶりの遊撃守備も
日本プロ野球の原点
所属チームのユニフォームを着てプレーしたMLB オールスターに対して、阪神・巨人連合は、1934年にベーブ・ルースや、ルー・ゲーリッグなどを擁する日米野球の際に使用されたユニフォームの復刻版を着用した。「ALL NIPPON」の頭文字である「AN」のロゴがデザインされたユニフォームで、ストッキングをヒザまでたくし上げたクラシックスタイルが逆に新鮮。率いた阪神・和田監督も「伝統を感じるユニフォームです。着ることができて、良かった」。なお、この34 年の日米野球を契機とし、12月に日本初の職業野球チームである「大日本東京野球倶楽部(読売ジャイアンツ)」が結成され、日本プロ野球の歴史が幕を開ける。