先日、都内にて『NPB AWARDS 2014』が開催された。受賞者リストには今季、プロ野球の主役となった選手の名前がズラリと並ぶが、私たちは忘れてはならないのだ、受賞者の陰でシーズンを盛り上げてくれた男たちの存在を。ここでは、スポットライトを浴びずとも、各部門で好成績を残した選手をピックアップ。2014年の“隠れ”タイトルホルダーとして紹介する。 ※記録はすべて規定以上。救援投手は50試合以上 【打撃部門】無冠の大島が実は3冠に
好成績を残しながらもタイトル獲得とはならなかった
中日の
大島洋平は“隠れ”タイトルでは猛打賞、内野安打、三振率の3冠に輝いた。シーズン終盤まで最多安打争いを繰り広げた
広島・
菊池涼介、
ヤクルト・
山田哲人もそれぞれ2冠だが、二塁打でトップの数字を残すなど、長打も魅力だ。盗塁王を獲得した
DeNAの
梶谷隆幸、同2位の大島とともに来季は盗塁王争いにも参戦していきたいところだ。

▲球団唯一の3冠となった大島。来季はタイトル獲得を目指す
得点圏打率トップのDeNA・
筒香嘉智は初の3割到達と再ブレーク。追加ながら侍ジャパンにも招集され、将来が期待される存在に。
日本一に輝いた
ソフトバンクからランクインしたのは意外にも
今宮健太のみ。しかしランキング外を見てみると納得の結果となった。猛打賞はトップこそ譲ったが、2位タイに
柳田悠岐(15)、4位タイに
中村晃、
内川聖一(14)、6位タイに
李大浩(12)と10位までに4人がランクイン。得点圏打率も3人がトップ10入りを果たすなど勝負強さを見せつけた。
西武・
中村剛也は2年ぶりに本塁打率でトップ。以下4位までが助っ人なだけに、そのパワーは日本人離れしている。
【守備部門】菊池が表とともに獲得、強肩王は炭谷に決定!
ゴールデングラブ賞を2年連続で獲得した
楽天・
藤田一也、広島・菊池、初受賞の中日・大島が、“隠れ”でも順当にタイトルを獲得。菊池にいたっては2年連続で二塁手併設参加数トップに輝いた。昨季よりも6回減の109回だが、それでもパ・リーグ1位の藤田が73回だったことを考えれば、これがいかにスゴイ数字なのかが分かる。ちなみに、菊池と最多安打争いを繰り広げたヤクルト・山田も、105個(2位)という好成績を残した。

▲好守備を連発し2年連続でゴールデングラブ賞を受賞した菊池
遊撃手併殺参加、外野手直接送球捕殺で目立った記録はなかったが、捕手盗塁阻止率では西武・炭谷銀仁朗が.444をマーク。また、盗塁刺44個も断トツ。武器の強肩でチームのピンチの芽を摘み、今季、低迷した西武を扇の要として支えた。
【先発・救援投手部門】大谷、藤浪、福谷、又吉、2年目以内の若手が躍動
先発投手部門で目立った成績を残したのは、プロ2年目ながら奪三振率(10.37)で両リーグトップに輝いた
日本ハムの二刀流・
大谷翔平。今季は、投手に重点を置いた起用法が当たり11勝(4敗)と、表の項目となる勝利数でも好成績を残した。

▲今季、最速162キロをマークした大谷は奪三振率でパ・リーグトップに
また、満塁被打率.000の西武・
岸孝之にも注目だ。今季は5月2日の
ロッテ戦(QVCマリン)で自身初のノーヒットノーランを記録するなど、西武の絶対的エースとして君臨した。そして、この岸も含め、
オリックス・
金子千尋、楽天・
則本昂大など、表でタイトルを獲得した好投手たちが“隠れ”でもタイトルを独占した。
救援投手部門では今季、パ・リーグ2位に躍進したオリックスで鉄壁の救援陣を形成した
比嘉幹貴が、両リーグ唯一の0点台となる防御率0.79をマーク。リーグタイ記録となる35試合連続無失点を記録するなど、比嘉にとっては大躍進の1年となった。

▲パ・リーグタイ記録となる35試合連続無失点の比嘉が救援投手の防御率1位
また、セ・リーグでは、新人王候補に名前が挙がった中日の
福谷浩司と
又吉克樹が合わせて3項目でトップに立った。
【はみ出し捜査メモ】牧田が“イタイ”ワースト記録
弱肉強食のプロの世界。1位がいれば、最下位もいるわけで……。ここでは各部門のワースト記録をピックアップ。来季の奮起を期待したい――。 
▲牧田は与四球50も自己ワースト。来季、自身の投球を取り戻せるか
今シーズン制球に苦しんだのが西武の
牧田和久とDeNAの
久保康友。牧田の与死球12はプロ入り4年目にして初の2ケタ。久保は与四球、暴投と2部門でリーグワーストとなってしまった。どちらもチームでは柱となる存在なだけに、来季は安定した投球で勝利に貢献していきたいところだ。
失策数で両リーグワーストとなった
阪神・上本(博紀)だが、今季は二塁のレギュラーをつかみとると、自身初の規定打席到達、キャリアハイの数字を残し飛躍の1年となった。日本シリーズでも欠かせない存在だっただけに、今季の経験を糧にさらなる成長が期待される。