秋と春と侍ジャパンに選出され、将来日本を背負うことが期待されている阪神の藤浪晋太郎に「エース論」を語ってもらった。藤浪自身、今季は「エース格」の投手になることを目標にしているだけに、明確な指針がそこにあった。 取材・構成=椎屋博幸 写真=前島進、BBM 昨年オフ辺りから、藤浪の言動に変化が見られるようになった。これまで以上に質問にしっかりとした受け答えをし、何事にも嫌がらずに答える。そして目標に「エース格の投手になる」を掲げた。自分の中で何かが覚醒し、未来への自覚ができてきている。
「(エースになるには)安定して負けないことが第一条件」

目標に「エース格の投手になる」ことを掲げた藤浪
──今週の特集は「エースをつかめ」です。藤浪選手の考えるエースとは、どういう投手を指すのでしょうか。
藤浪 やはり「信頼」のある投手ですね、一番は。自分のチーム、首脳陣、チームメートから、そしてファンの皆さんから信頼される。そして相手チームからもそういう形で認めてもらえる存在が「エース」なのだと思っています。
──では、エースになるためには何が一番必要なのでしょうか。
藤浪 「結果」でしょうね。それと「振る舞い」だと思います。
──「振る舞い」ですか……。
藤浪 「振る舞い」とは難しい表現だと思います。それは言動や、行動などを指しています。そして普段の態度など……そういうところすべてだと思います。
──そのエースに対する考えは、高校生のときとは少し違う考えになっていますか。
藤浪 プロではエースになったことはないので、プロ野球でのエースということに関しては分からないのですが、高校のエース像とは明らかに違うと思います。
──こういうことがプロ野球の「エース」なのかなという場面などがあれば教えてください。
藤浪 技術的な部分では、能見(篤史)さんのクライマックスシリーズ(CSファーストステージ)
広島戦第2戦の7回裏の場面です。一死満塁から三塁ゴロでツーアウトにして、最後はズバッと真っすぐで見逃し三振を取られましたよね。そこなどは能見さんがエースたるゆえんです。見ているこっちもしびれますよね。1点も与えられない場面でしたから。しびれる場面できっちりと内角にズバッ! ですから。内容も見逃し三振でベンチに帰ってくるという……。

昨年のCSファーストステージ第2戦7回一死満塁のピンチを能見が三振で切り抜けた場面。これがエースたるゆえんだと藤浪は語る
──藤浪選手もCSファイナルステージ
巨人戦初戦の7回無死満塁を無失点に抑えました。
藤浪 はい、あのときは、抑えることができましたが、三振で切り抜けたわけではないですから。
──それでも、そういう場面で抑えていくということが……。
藤浪 そうですね、あのような場面で抑えていければ、信頼にもつながっていくと思います。だから、あのようなしびれる場面でしっかり抑えられるような投手になりたいです。

昨年のCSファイナルステージ初戦で藤浪が7回無死満塁を無失点に抑えた場面。こういう積み重ねが信頼されエースへと導かれるという
──今年、年初めの
週刊ベースボール絵馬企画で絵馬に「エース格の投手になる」という目標を掲げました。この意図を教えてください。
藤浪 実は・・・
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