
「どの球種もある程度いいところまできてます」とキャンプを終えて手応えを口にした
昨季は二刀流2年目でチーム最多の11勝をマークし、打っては10本塁打。3年目の今季はさらなる活躍が期待される大谷翔平。ただ、投手、打者の二刀流でチームのエースになり得るのか。日本ハム首脳陣の言葉から検証する 写真=早浪章弘 チーム内での絶大な信頼
二刀流3年目を迎える大谷翔平は、日本ハムのエースと呼べるのか。投手だけでなく、野手としても出場しながらエースになり得るのか。外部からはさまざまな声があるが、チーム内では、すでにエースとして認識されている。
入団からいつも厳しい目で見守ってきた
栗山英樹監督も今季のキャンプでは大きな成長を感じ取ったようだ。
「何かをやろうとしていることが見えるようになってきた。キャンプを通じて打者に向かっていく感じも出てきた。今年の開幕投手もそうなんだけど、この先が大事。本当のスタートになると考えている。大爆発してくれると信じている」
同じく、監督とともに大谷を入団時から指導してきた
厚澤和幸投手コーチも今年のキャンプには手応えを感じている。
「こちらが提示したスケジュールどおりに、故障もなく過ごせたことが成果。なおかつ、実戦でも結果を出した。キャンプ中に開幕投手と発表されたが、大役に見合う投球をしていた。とてもいいキャンプだった」
いつも厳しい評価をする2人が、これほど前向きなコメントを残すのは、大谷に対して一定の満足感を得たからだろう。14年から日本ハムに復帰した
白井一幸コーチの一言は、チームの大半の選手、スタッフの声を代弁しているのではないか。「ウチには球界のエースがいる」
実力、才能、チームメートの評価では、間違いなく“エース”である。ここでは、打撃成績はひとまず置いておき、これまでの投手成績に着目する。1年目が13試合登板で3勝0敗、防御率4.23。二刀流が無事にスタートしたが、特筆すべき数字ではない。ところが、2年目の昨季は、24試合に登板して11勝4敗、防御率2.61で、他球団のエース級と並べても引けを取らない数字を残した。
さらに細かく昨季の投手成績を見ると、リーグ10位の投球回(155回1/3)を投げ、規定投球回に達した。その中で、勝率、防御率ともに
金子千尋(
オリックス)、
岸孝之(
西武)に次ぐリーグ3位で、勝利数でも5位である。14年の成績だけを見たら、十分エースの名に値する。
ただ、真のエースは誰が見てもエースでなければならない。そのためには、昨年以上の成績を今後数年間積み重ねることが必要だろう。大谷が真のエースと認められるのに、足りないのは経験と実績だけではないか。

練習後の居残り、休日返上でマシン打撃に向かうなど、キャンプ中も時間を作り、打撃練習に取り組んだ