開幕から前評判を覆す大躍進を見せているDeNA。ここではそんなチームを支える4人の男たちをクローズアップ。17年ぶりの優勝へ、静かに闘志を燃やす彼らの活躍、そして経験は今後も欠かすことはできない。 三浦大輔
酸いも甘いも知るレジェンド

優勝の喜びとそこへたどり着くまでの難しさは、プロ24年目を迎えた三浦だからこそ知っている
横浜スタジアムに詰め掛けた今季最多2万8960人の視線を独り占めにした。5月5日、プロ24年目を迎えた
三浦大輔の今季初登板だった。「こういう緊張感の中で投げることを求めていた」。7安打を浴びながら6回を3失点。直球は140キロに満たずとも多彩な変化球を四隅に投げ分けた。今季初勝利を飾り、
山本昌(
中日)、
工藤公康(現
ソフトバンク監督)に肩を並べるプロ野球記録の23年連続勝利を達成。続く20日の
ヤクルト戦(神宮)では8回を無失点で連敗を2で止め、さらに史上9人目、歴代5位タイの23年連続安打をマーク。1カ月遅れの“開幕”から、その存在感は際立っている。
シーズン直前、中畑監督に一人呼ばれ、ファーム行きを通達された。5年ぶりとなる開幕二軍スタート。「コーチの立場では若手が出てきてうれしい。選手としては、まだまだ負けられない。何も思わなくなったら辞めた方がいい」。胸に秘める闘志は決して消えることはなかった。
そんな右腕の原動力は、もちろんただ一つ。「優勝したい。それだけだよ」。38年ぶりの日本一に輝いた1998年から、もう17年が経った。1月の自主トレーニングから体をいじめ、2月のキャンプではチーム最多の2559球を投げ込んだ。早朝6時からホテルの外周を約30分間散歩するなど体調管理も徹底。チーム最年長の41歳は目標のために、いつでも準備を怠らない。
今季はペナント制覇へ、最高のスタートを切った。優勝した98年の状況と比較されることも徐々に増えている。
「若い選手だけではなく、日替わりでヒーローが出ているのが大きい。チームの総合力が上がっているし、戦いながら戦力アップもしている。ゴウ(筒香)もキャプテンとして頑張っているし、ベテランもサポートできているから」
とはいえ、慢心することもない。5位から一転して優勝争いを演じた97年が記憶に残る。一時は首位のヤクルトに迫りながら、最終的には11ゲームも差をつけられた。「どれだけ勝てば、優勝できるか分からなかった」。64年以来の70勝超えとなる72勝63敗だった。
12球団で唯一クライマックスシリーズ出場経験がない若きチームにとって、先はまだ長い。
「これから先、しんどいことは増える。一歩ずつやっていくしかない。その積み重ねが結果になる」
自身が打ち立てた記録の数々がそう証明している。
梶谷隆幸
進化する名脇役

自らの役割を理解し、まっとうする梶谷。名ワキ役がいるからこそ主役は輝き、チームの勝利につながる
「絶好調はいらないんです」
梶谷が今季、常々口にする言葉だ。開幕から三番で出場を続け“安打製造機”として四番・筒香につなぐ重要な役割を担っている。「後ろにバッターがそろっている。僕の仕事は・・・
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