前半戦を首位で折り返したDeNA。その強さの要因を探る。まずは14年の前半戦のデータと徹底比較する。やはり、山崎康が抑えに定着したことが打線にも好影響を与えているようだ。 文=永山智浩※記録はすべて7月21日現在 一番と主軸がそろえば強い
勝率5割ながら優勝した98年以来、首位でオールスターゲームを迎えたDeNA。交流戦では3勝14敗1分けと大きく負け越したが、セ・リーグのみの成績では39勝30敗と勝ち越しており、混戦のリーグを勝ち抜けるチャンスは十分にある。
前半戦注目されたのはリーグトップの打率.257をマークしている打線だ。昨年はなかなか打順を固定できなかった。
最も固定されていたのは八番の
黒羽根利規で85試合。144試合中、起用の割合は59%だったが、ほかに50%を超えたのは六番の
バルディリスで52.1%。一番とクリーンアップはいずれも40%台だった。
ところが、今年は三番の
梶谷隆幸、四番の
筒香嘉智、五番のロペスが固定され、クリーンアップはすべて80%以上。一番の
石川雄洋も70.1%と高く、打順でキーとなるところはほとんどが固定され、また八番には捕手を入れる点も固定されている。
一番・石川、三番・梶谷、四番・筒香、五番・ロペス、六番・バルディリスの打順だったのは41試合あるが、24勝17敗と勝ち越している。交流戦では筒香の故障などもあり、この5人の打順パターンは1試合しか組めなかった。これが大きく負け越した要因かもしれない。7月上旬に石川が故障で一時離脱したが、後半戦で復帰。流れいいこの打順パターンで勝利につなげたいところだ。

一番・石川、三番・梶谷、四番・筒香、五番・ロペス、六番・バルディリスの打順での勝率が高い
終盤の集中力と好成績
打線でもうひとつ注目したいのは試合後半での粘りだ。今季は逆転勝ちが21試合あり、「逆転」がDeNAの代名詞になっている。また7回以降に逆転または勝ち越した試合も17と多い(昨年は144試合で22)。
昨年は1〜5回までのチーム打率は.271だったが、6回以降は.246と極端に下げていた。しかし、今年は1〜5回が.268で6回以降も.261とあまり変わらない打率を残している。
主力打者にも顕著に表れている。
昨年チームで唯一3割をマークした筒香も1〜6回までは3割台だが、7回以降は.273と大きく打率を落としている。石川は1〜3回は2割8分台だったが、4回以降は2割5分を下回る打率。梶谷も7回以降は.231と低迷。規定打席に達した中ではバルディリスのみが7回以降も打率が落ちなかった。
ところが今年は7回以降も、主力打者は高い打率を残している。筒香が.333、石川が.367、梶谷が.309、バルディリスが.287と昨年とは雲泥の差。また新加入したロペスも.298で5本塁打といい成績をマークしている。
長年低迷していたチームだが、今年は春先から首位争いに参戦。それだけに選手が試合終盤まで集中力を切らさずに戦っているということだろう。
山崎康による波及効果
この試合後半まで集中力を維持することができるのはリリーフ陣の頑張りもある。特にクローザーに抜擢されたルーキーの
山崎康晃の活躍が大きい。
チーム2試合目の3月28日の
巨人戦(東京ドーム)で初登板すると、31日の
広島戦(横浜)でプロ初セーブを挙げた。4月21日の
阪神戦(横浜)では2失点で初黒星を喫したが、22日の同カードから5月8日の巨人戦(横浜)まで9試合連続セーブをマーク。5月22日の阪神戦(横浜)まで16試合で16イニング連続無失点も記録した。24日の阪神戦(横浜)で先頭打者の頭部に死球を与え危険球退場となり、その走者を後続の投手にかえされて1失点したが、5月は自ら打たれての失点はなく、ルーキーとしては初めて月間10セーブを挙げる活躍を見せ、チームの信頼を得た。これにより、左腕の
田中健二朗、右腕のエレラのセットアッパー陣がきっちりとホールドを稼いでいる。
昨年のチーム防御率は3.76(リーグ3位)で今年は3.78(リーグ5位)とあまり差はない。先発陣も3.90→3.89、救援陣は3.51→3.53と数字を見るとほとんど変わりない投手陣で、リーグ対比で見ると悪くなっているように見える。しかし昨年は失点がリーグ5位の624(1試合平均4.33)。自責点は539だったので、非自責点が85もあったことになる。
昨年の失策はリーグ唯一の3ケタで116。
もちろん守備率も.979でリーグワーストでは、失点と自責点の差が85もあったのもうなずける。だが、今年は守備力がアップしムダな失点を避けることができている。失点が362(1試合平均4.16)で自責点は327でその差は35しかない。
遊撃手の守備率アップ
今季の失策は51。守備率も昨年の.979から.985までアップした。ポジション別でも投手を除き、すべてでアップしている。特に目立つのが遊撃だ。昨年は
山崎憲晴が102試合に出場し12失策、
白崎浩之が66試合に出場し10失策だった。今季は、守備には定評のあるルーキーの
倉本寿彦が最多の65試合に出場し5失策。守備率は.976とまずまずの成績を残し、試合数は少ないが白崎(27試合)と飛雄馬(28試合)がともに1失策で守備率は.989と安定感を増している。センターラインの一角だけに、この部分の不安が解消されたのは大きい。
昨年までは一つの失策をきっかけに投手陣の集中力が途切れたり、それによって打撃陣もゲーム後半に打てなかった状況が多かった。しかし、今年は守備力がアップしたことによって、試合を壊すことなく投打の集中力をより高めているといってもいいだろう。