7月28日のソフトバンク戦(秋田)でNPBだけでの2000安打を達成した松井稼頭央。そのほかにも400二塁打、日本通算350盗などもマークし、2015年シーズンは記録ラッシュの1年となった。だが、この偉業もまだ通過点。10月に40歳になる大ベテランはひたむきに一歩ずつ前へと進んでいく。 積み重ねの先に辿り着いた大記録
日米通算22年目のシーズンは記録ラッシュのメモリアルイヤーとなった。必死に過ごす毎日の積み重ねが、大きな金字塔を打ち立て続けた。だが、松井稼頭央は記録について聞かれるたびにこう答える。
「記録は積み重ねてきたもの。これからもひとつでも多く積み重ねたい。それがチームの勝利に貢献することになる」
類まれな才能を豊富な練習量で開花させた。センス抜群で泥臭い努力とは無縁の選手、もしかするとそう思っているファンもいるかもしれない。だが、違う。何度も何度も大きな壁にぶち当たり、乗り越えての今がある。プロ入りはPL学園高時代の投手から野手へ転向。まさにゼロからのスタートだった。
「体は強かったから、たくさん練習できた。1球でも多くノックを受けようとやっていたし、1本でも多くバットを振ろうとやってきた」
日米通算2000安打の達成は7月28日のソフトバンク戦(秋田)だった。プロ入り後に鍛えてきた左打席で、中前へのポテンヒットだった。日米通算では9月4日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)で2643安打とし、
松井秀喜氏(
巨人、ヤンキースなど)の安打数に並んだ。リトル松井はゴジラ松井を超えた。しかし、その数字に関しても松井稼は苦笑いしながら謙虚に言葉を選ぶ。
「秀喜さんかぁ……。ホームランバッターとして残した数字だから。僕はたかだか本塁打が200本くらい。単純に比べられないし、恐れ多い」
8月1日
オリックス戦(京セラドーム)は3安打し、1試合3安打以上の回数(猛打賞)が
立浪和義氏(元
中日)に並ぶ175度で歴代6位タイとした。「(PL学園の)大先輩ですからね、恐れ多いですけど、並べたのは光栄です」。ちなみに
王貞治氏(現ソフトバンク会長)は171度。「王さんと比べるなんて、そんなこととんでもないことやで」。先人へ最大限の敬意を払いつつ、己の数字には常に控えめにコメントしてきた。

7月28日のソフトバンク戦[秋田]で中田賢一から中前に安打を放ち、日本球界だけでの2000安打を達成。スイッチヒッターでは柴田勲[巨人]に次ぐ史上2人目
松井稼を支える2つの座右の銘
8月14日の
日本ハム戦(コボスタ宮城)では400二塁打も達成。「外野の間を抜いていくのが持ち味。僕はホームランバッターではなく、中距離ヒッター」と自己分析する。こだわるバットの素材は反発力が高く、打感の硬いメープル材。他の選手が木目や芯の音で試合用を選別する中、松井稼は「グリップを・・・
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