2016年の注目度No.1ルーキーの登場だ。楽天1位のオコエ瑠偉。1月の入寮以来、最も多くカメラのフラッシュを浴びてきた選手だろう。ナイジェリア人の父、日本人の母との間に生まれ、甲子園で見せた高い身体能力は記憶に新しい。攻守走すべてに魅力を感じさせる逸材は、プロの世界でどんな選手に育っていくのだろうか。キャンプインを控えた1月下旬、雪の積もる仙台で話を聞いた。 取材・構成=富田庸、写真=大泉謙也、BBM 自分のプラスになるから先輩には遠慮せずにいく
スター選手の宿命と言うべきか、何をやっても話題になる。ほかの新人選手がスーツや学生服という正装で入寮する中、オコエはジーンズ姿で登場。これは新聞、テレビでコミカルに報じられた。ただ、本人は目立ちたくてやったわけではない。そこには“オコエ流”のこだわりがあった。この18歳、立派な体つきと同様に、一本芯が通っている。 ――1月6日に泉犬鷲寮へ入り、プロ野球選手としての第一歩を踏み出しました。
オコエ やっぱりプロは環境がとても良いですし、練習している中でプロになるんだという実感を持ちますね。
――雪のため、寮から自主トレをするコボスタ宮城までたどり着けなかったこともありました。早くも東北の“洗礼”を浴びたようですね。
オコエ 寒さにはまだ慣れないですね。東京とは全然違うので。
――ジーンズ姿で入寮したこともニュースになりましたし、ルーキーの中では最も注目を浴びる存在です。
オコエ ジーンズについては、自分としては悪いことをしたと思っていません。これからはプロなので、高校の制服は着なかったというのが本心です。多くのメディアさんに取り上げてもらってありがたいですけど、正直、行き過ぎかなと思うことも(苦笑)。それでも、すごく期待されているのは感じますし、プレッシャーも確かにあります。
――新人合同自主トレでは、社会人や大学生とも積極的に話している姿が印象的でした。同期入団の選手たちと良い雰囲気で練習ができているようですね。
オコエ 先輩方が先頭に立って良い雰囲気を作ってくださるので、僕たち高校生も伸び伸びと練習することができています。同期のムードメーカーは
出口匠(育成1位)ですかね。率先して声を出して場を盛り上げてくれます。僕はそういうタイプじゃないですけど、経験のある人の話を聞きたいんです。だから、年上の人たちのそばに行くことが多いですね。
――吸収できることがたくさんある。
オコエ 経験が豊富な方は、僕にないものを持っていると思うんです。先輩に対して、もちろん友達感覚というわけにはいかないですけど、自分の中では同級生と関わることと変わらないですね。自分にとってプラスになることは多いので、そこは遠慮せずにいきます。

自主トレの合間、社会人出身の同期、足立と談笑するオコエ。年上の選手にも臆することなくコミュニケーションをとるつもりだ
――1月12日に都内で行われたNPB新人研修では、「分かりやすいし、自分を持っている。オコエ君みたいな選手はあまりいない」とトークを褒められました。
オコエ これまでたくさん取材をしていただいているので、それが経験になっているのだと思います。それと高校時代(関東一高)の米澤(貴光)監督が、甲子園で1試合終わるたびに、僕に対して「謙虚に、謙虚に」と繰り返し言ってくれて、そういった基本というか、プロ入りする前の環境が良かったので、研修でも褒めてもらえたのかなと思います。
高校での3年間は技術向上に費やした時間
一塁強襲二塁打、史上2人目の1イニング2三塁打、スーパーキャッチ……。昨夏の甲子園はまさに“オコエ劇場”だった。この活躍がU-18侍ジャパン入り、そしてドラフト1位指名にもつながった。攻守走にわたる活躍を見せた逸材の内部には、冷静な思考と深いこだわりが存在する。天然芝に生まれ変わるコボスタ宮城で、オコエはどんなプレーを見せてくれるのだろうか。 ――甲子園で活躍して、一躍注目される存在になりました。自身のプレースタイルについてどう分析していますか。
オコエ まだプロ野球をやっていないので、高校野球での話になりますが・・・
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