エースナンバー「18」を背負う者のプライドと責任。それを肉体に刻み込みながら野球人生を歩む男・松坂大輔。1980年世代のトップリーダーは、プロ入り後も“松坂世代”でくくられる選手たちとの間で、さまざまなストーリーを紡いできた。松坂の代名詞とも言える背番号「18」をキーワードに交錯した、男たちの物語。 文=石田雄太 松坂大輔(
ソフトバンク)がメッツのユニフォームを着ていた2年前、彼がふと、呟やいたことがあった。
「自分の背中に18番がないことがすごくイヤなんです。ほかの番号を着けている自分の姿はあんまり見たくないんですよね……」
正直、驚いた。
松坂の18番に対する思い入れは知っているつもりだったが、そこまで強いこだわりがあるとは思っていなかったからだ。
メッツでの松坂は16番を背負っていた。
野茂英雄、デイビッド・コーン、ドワイト・グッデンが着けていた番号である。しかし、その球団の歴史がどうであれ、松坂には響かなかった。松坂のプロ野球人生は、背番号18とともにあった。ライオンズでの8年間、レッドソックスでの6年間、松坂のサインには常に18という数字が記されていた。
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16を着けたメッツ時代の松坂[2013~14年]は18ではない違和感を口にしていた/写真=Getty Images
それが、2013年、インディアンスとマイナー契約を結んだ松坂の背番号は、20番になる。インディアンスの18番は通算223勝を挙げた右腕、メル・ハーダーの永久欠番となっており、松坂が望んでも着けられる番号ではなかった。シーズン中に契約を交わしたメッツでも、その時点で18番はコーチが着けており、松坂はあきらめざるを得なかった。求められたサインに#20や#16と書き入れるたびに、「どこか違和感があった」のだと、のちに松坂が話していたことがある。
松坂世代が交わるナンバー「18」の交差点
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16年シーズンに18を着ける松坂世代は松坂と杉内、藤川がいる
それほどのこだわりを持っていた背番号18――そのルーツは、松坂が子どものころに遡る・・・
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