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ホームベース上の攻防
MLBにおけるクロスプレールール変更の流れ

 

メジャー・リーグでも本塁でのクロスプレーにより、深刻なケガを追う選手が続出したことにより、2014年からひと足早く、本塁上での捕手のブロック、さらに走者の危険なタックルが禁止されていた。2年間、ゲームでそのルールが施行されたわけだが、どのような問題点が吹き出し、修正されていったのだろうか。その流れをリポートする。
文=奥田秀樹、写真=Getty Images

 本塁ベース上で捕手と走者が正面から激突する体を張ったプレー。迫力あるシーンは長年、メジャー・リーグ(MLB)の醍醐味とも言われてきた。しかし「RULE7.13」を採用した2014年以降2年間で、こういったプレーはほぼ消滅した。安全重視、大金を投資した選手の体を守ることを重視し始めたからだ。

 背景にはMLBがこの10年間で、薬物検査を徹底させたことがある。薬で痛みを抑えられないことで、故障者リスト入り(DL入り)のケースが増え、15年も総額7億ドルがムダになった。球界全体でいかにDL入りを減らすか知恵を絞る中、故意に体を痛めつけ合うプレーはこの流れに逆らう行為でしかない、ということで本塁でのクロスプレーもその対象となった。

 とはいえ、MLBでも当初は戸惑いの連続だった。ボールを保持しない捕手は走路をふさぐブロックができないとか、ライン上にいない捕手にタックルしてはならないとか言われても、どこまでが良くてどこからがダメなのか定かではない。どうしてもグレーゾーンが出てくる。選手だけでなく、審判も、リプレーオフィシャルも戸惑いながら、14年は本塁の判定を巡って92回リプレーが請求され、11回判定が覆るなど、混乱していた。

 なかでも疑問符がついたのは、素早い返球で明らかにアウトのタイミングなのに、形の上で捕手が走路をふさいだからという理由で、判定が変わり得点が与えられたケースだ。

 14年9月、MLB野球運営部門のジョー・トーリ重役は審判や30球団にメモを送った。捕手がボールなしで本塁をブロックしていたとしても、意図的に走者の走路を妨害し邪魔をした明白な証拠がないなら、走者をセーフにしてはならない。つまり、常識を働かせようというのである。

昨年、メジャーでは27回のリプレー要求で判定が覆ったのは2回だけだった



 15年4月と6月に1度ずつ、アウトがセーフに覆るプレーがあった。本塁ベースの前に立つ捕手の左足が、返球を受ける前から三塁側のファウルゾーンに深く入っていて、走路を完全にふさぐ形だったと見られる。そうではなく7月以降は、左足がファウルライン上なら、走路はあけているという解釈となった。

 とはいえこの2つのプレーもタイミングはアウトで、トーリが言及したような意図的な妨害ではなかった。そしてその後は、こういったケースでも判定が覆らなくなっていく。2年目27回のリプレー要求で覆ったのはその2回だけ。明らかなアウトをセーフにし、点を与えるのは、捕手が目に余る妨害行為をしたときのみだ。そしてそれはまれなのである。

 新ルールの一番の狙いは、捕手の体を守ることだ。採用された2年間激突による大ケガはなかった。その一方で捕手はベースの前でプレーするため、クロスプレーの場合、捕球後、体を回転させての追いタッチになる。そのため遅れないように片手タッチに行くことで、落球も増えた。捕手の体は守られたが、本塁の守りはもろくなった。2年間かかって作り上げたMLBでのこのルール。日本でも同じような混乱が起こっているようだ。果たしてMLBと同じような解釈を開幕までに進めるのだろうか。
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