野球の戦略性が高まったことで、軒並み重要性を増す7~9回の終盤戦。僅差のリードを守るために選ばれた各球団のリリーフたちを見ていこう。 成績は5月8日時点で比較 ソフトバンク 安定度=80点
7回(チーム失点13):不在 五十嵐亮太が左太もも裏の肉離れで戦線離脱。不調のバリオスは二軍調整中で、
森唯斗も不安定な内容が続く。
8回(チーム失点=10):スアレス 10試合、1勝0敗6H0S、防御率0.79
9回(チーム失点=7):サファテ 10試合、0勝1敗5H10S、防御率1.00
その他の救援投手の起用法 飯田優也:12試合、0勝0敗2H0S、防御率5.68、起用法=何でも屋
寺原隼人:7試合、2勝0敗2H0S、防御率2.84、起用法=何でも屋
森福允彦:11試合、0勝0敗6H0S、防御率0.00、起用法=ワンポイント
森唯斗:14試合、1勝2敗3H1S、防御率2.40、起用法=勝ちパターン
岡本健:3試合、0勝0敗0H0S、防御率0.00、起用法=敗戦処理
五十嵐亮太:6試合、0勝0敗3H0S、防御率0.00、起用法=二軍調整
昨年までの2年連続日本一は「困ったら3人に回せばよかった」と
工藤公康監督が信頼を置いた勝利の方程式が中心となった。その顔ぶれでは9回のサファテは変わらぬ安定感を見せているが、五十嵐亮太、森唯斗、バリオスは仕事ができていない。その穴を埋めるように新外国人のスアレスが160キロに迫る直球とけん制やクイックといったマウンドさばきの軽快さで8回の男に名乗り。
7回の人材が課題となっているが、現状ではベテラン・寺原隼人が一番の候補。だが、信頼を得るには至っていない。スアレスがイニングをまたぐ機会が増えているのが気になるところ。
日本ハム 安定度=30点
7回(チーム失点=15):宮西尚生、谷元圭介 10試合、0勝0敗6H0S、防御率3.00
11試合、1勝0敗6H0S、防御率3.12
8回(チーム失点=15):不在 は新助っ人の
マーティンが担っているが……安定感とはほど遠い投球内容。白村らの復調が待たれる。
9回(チーム失点=7):不在 絶対的クローザーだった増井が不振でまさかの二軍落ち……。現状では空位となっており、厳しい戦いが続く。
その他の救援投手の起用法 井口和朋:10試合、0勝1敗2H0S、防御率2.70、起用法=何でも屋
高梨裕稔:13試合、1勝1敗1H0S、防御率1.38、起用法=何でも屋
鍵谷陽平:7試合、0勝1敗0H0S、防御率7.04、起用法=二軍調整
榎下陽大:7試合、0勝0敗0H0S、防御率1.26、起用法=ロングリリーフ
斎藤佑樹:1試合、0勝0敗0H0S、防御率0.00、起用法=何でも屋
白村明弘:3試合、0勝0敗0H0S、防御率13.50、起用法=何でも屋
崩壊寸前のリリーフ陣。そう言ってもいいほど苦しい戦いが続いている。クローザーの
増井浩俊は開幕から調子が上がらず、最近2試合も連続でセーブを失敗して5月4日に再調整で二軍落ち。8回を任されているマーティンも制球難で安定感に乏しく、試合を壊す場面が目立つ。さらに谷元圭介も同月4日のカードで打球が直撃して途中退場。この非常事態に翌5日から斎藤佑樹、白村明弘らを急きょ昇格させてしのいでいる状況だ。
現状で増井の復帰時期のメドは立っておらず、しばらくはクローザー抜きで調子の良い選手を見極めて戦っていくことになる。
ロッテ 安定度=90点
7回(チーム失点=19):益田直也、松永昂大 16試合、2勝0敗3H2S、防御率1.10
16試合、1勝0敗3H0S、防御率1.32
8回(チーム失点=18):内竜也 14試合、2勝0敗9H0S、防御率1.35
9回(チーム失点=10):西野勇士 14試合、2勝1敗1H9S、防御率3.95
その他の救援投手の起用法 藤岡貴裕:13試合、1勝0敗1H0S、防御率0.42、起用法=ロングリリーフ
南昌輝:12試合、0勝1敗0H0S、防御率1.80、起用法=何でも屋
阿部和成:5試合、0勝0敗0H0S、防御率6.14、起用法=二軍調整
大谷智久:1試合、0勝0敗0H0S、防御率0.00、起用法=二軍調整
香月良仁:6試合、0勝0敗0H0S、防御率4.50、起用法=何でも屋
東條大樹:1試合、0勝0敗0H0S、防御率13.50、起用法=二軍調整
チームの厚い信頼を得る8回の内竜也を軸に、前後を益田直也と西野勇士が固める布陣はリーグ屈指の鉄壁だ。貴重なレフティー・松永昂大も抜群の安定感を誇り、南昌輝も昨季と見違えるような力強い投球を披露。故障がちな内の負担を減らしつつ、継投の盤石さを保つ。7、8、9回から逆算できる試合の組み立ては、打撃陣に「リードすれば勝てる」と思わせる好影響をもたらしている。
ロングリリーフを担う藤岡貴裕の働きも見逃せない。先発陣が崩れても粘り強くゲームを立て直し、終盤に勝機をつなぐ。絶対守護神・西野にわずかな綻びが生じているのが唯一の懸念点か。
西武 安定度=70点
7回(チーム失点=18):武隈祥太 17試合、1勝0敗2H0S、防御率2.08
8回(チーム失点=13):牧田和久 14試合、3勝0敗4H0S、防御率1.53
9回(チーム失点=7):増田達至 12試合、1勝1敗1H5S、防御率2.19
その他の救援投手の起用法 C.C.リー:14試合、0勝0敗1H0S、防御率6.23、起用法=敗戦処理
藤原良平:4試合、1勝0敗0H0S、防御率0.00、起用法=何でも屋
小石博孝:9試合、0勝0敗0H0S、防御率3.12、起用法=何でも屋
バスケス:1試合、0勝0敗0H0S、防御率0.00、起用法=何でも屋
岡本洋介:4試合、0勝0敗0H0S、防御率19.29、起用法=二軍調整
高橋朋己:7試合、1勝0敗3H1S、防御率1.69、起用法=二軍調整
開幕前の構想ではC.C.リー、高橋朋己、増田達至を3本の矢とし、終盤3回を任せる予定でいた。しかし、C.C.リーが力不足、高橋朋も左ヒジ痛のため離脱中で3本の矢はあえなく解散。先発陣も本来の投球ができずに、場面を問わずに牧田和久、武隈祥太らをマウンドに上げる展開にしかならず、勝利の方程式をなかなか築くことができなかった。
しかし、5月8日の
日本ハム戦(
西武プリンス)で7回武隈、8回牧田、9回増田のリレーで勝利。7、8回は相手打線の巡り合わせで入れ替わるかもしれないが、現状ではこれが勝利のパターンとなる。
オリックス 安定度=40点
7回(チーム失点=17):岸田護、吉田一将 12試合、0勝0敗6H0S、防御率6.75
8試合、0勝0敗2H1S、防御率2.25
8回(チーム失点=19):塚原頌平 17試合、2勝1敗5H0S、防御率1.06
9回(チーム失点=15):平野佳寿 16試合、1勝3敗4H7S、防御率2.25
その他の救援投手の起用法 佐藤達也:12試合、0勝2敗4H0S、防御率5.84、起用法=何でも屋
海田智行:1試合、0勝0敗0H0S、防御率0.00、起用法=ワンポイント
白仁田寛和:2試合、0勝0敗0H0S、防御率18.00、起用法=敗戦処理
ミッシュ:2試合、0勝0敗0H0S、防御率10.13、起用法=二軍調整
比嘉幹貴:一軍登板なし、二軍調整
コーディエ:4試合、0勝1敗0H2S、防御率13.50、起用法=二軍調整
開幕前に6回からの継投パターン「岸田護→佐藤達也→平野佳寿→コーディエ」を打ち立てるも、開幕3連戦でコーディエが乱調と、早くも崩壊。佐藤達も被弾するシーンが目立ち、5月8日を終わって逆転負けを9度も喫している。救援陣の崩壊で、3度も投手コーチの配置転換をするなど苦肉の策を取った。とはいえ、クローザーに就いた平野が安定した投球で孤軍奮闘し、救援陣が徐々に落ち着き出すと、7回に岸田や吉田一将、8回は塚原頌平と新方程式を確立しつつある。
それだけに佐藤達が復調、比嘉幹貴がケガから復帰すれば、さらに盤石の態勢が整う。
楽天 安定度=10点
7回(チーム失点=35):不在 福山博之、
青山浩二がその役割を期待されたが、いずれも不安定。出てくる投手すべてに不安要素あり
8回(チーム失点=18):ミコライオ 4試合、1勝0敗1H0S、防御率4.50
9回(チーム失点=16):松井裕樹 15試合、0勝1敗5H7S、防御率6.91
その他の救援投手の起用法 福山博之:16試合、0勝4敗7H0S、防御率4.02、起用法=迷走中
青山浩二:14試合、0勝3敗5H0S、防御率9.45、起用法=迷走中
金刃憲人:11試合、0勝0敗2H0S、防御率1.00、起用法=ワンポイント
横山貴明:9試合、0勝0敗1H0S、防御率6.48、起用法=何でも屋
濱矢廣大:9試合、2勝0敗0H0S、防御率6.35、起用法=ワンポイント
戸村健次:6試合、0勝3敗0H0S、防御率7.36、起用法=ロングリリーフ
下位からの巻き返しを期すチームにおいて、最大のネックとなっているのが中継ぎ投手陣の崩壊。開幕当初は青山浩二、福山博之、リズ、松井裕樹とつなぐ構想があったが、中継ぎ陣が次々と打たれ、早々に頓挫することに。二軍から濱矢廣大、金刃憲人という両左腕が昇格するも、安定感をもたらすことはできなかった。信頼できる中継ぎが1人もいないという危機的状況にある。
加えてクローザーとして期待される松井裕樹も、大量失点でのセーブ失敗が目立っている。復帰後は安定感を見せていたミコライオが被弾して追いつかれるシーンも。なすすべがないのが現状だ。