メジャー最多の762本塁打を放ち、通算安打も2935を数え、史上唯一500本塁打&500盗塁を記録しているスーパースターのバリー・ボンズ。その彼は今季からマーリンズの打撃コーチに就任、イチローの打撃を毎日見ている。そのボンズにイチローについて熱く語ってもらった。 取材・構成=笹田幸嗣、写真=Getty Images 出会った2001年から何も変わらない男
──今季のイチロー選手の状態をどのように見ていますか。
ボンズ 彼は素晴らしい野球選手であり続けている。あのとき(2001年メジャー・デビュー)より15年分歳をとっただけ。メジャーに来たときとまったく同じだよ。

メジャー最多本塁打記録を持つボンズコーチ。自身も42歳まで現役を続けただけに、イチローの体調面などを注意深く見ているという
──彼が01年に来たとき、どんな印象を持ちましたか。
ボンズ 今は髪の毛が白くなったな。それだけだ。15年前と今の違いはそれだけ(笑)。彼は自分自身を分かっている。分解写真で見れば違う部分はあるけれど、スイングの根幹は15年前と何も変わっていない。グリップが残るところ、肩が決して開かないところ、抜群のハンド・アイ・コーディネーション(※)を持っていること、打者として大事なものをすべて持っている。そして何も失っていない。これだけの数字を残していることがそれを証明している。
※視界で見たものをインプットし、その情報を整理し、筋肉の動きをコントロールするシグナルを即座に出すプロセスを指す。具体的には、さまざまな目に映る物ごとを区別しながら手や腕を正確に動かす能力のこと ──彼のヒッティングスタイルについてはどう考えていますか。
ボンズ それも一緒だ。体型も変わっていない。彼のバッティングメカニックは先ほども話したように非常に素晴らしい。熟練した技術も何も変わらない。彼のメカニック(体の動かし方)が誰にとっても最適かと言えば、そうではないと思うが、イチローにはとても適しているということだろう。とにかく安定した技術をずっと持ち続けている。それがほかの打者と大きな違いを生んでいるということだと思うよ。
──ということは、何もアドバイスをすることはない。
ボンズ 素晴らしいアスリートにはなにもアドバイスをすることはない。彼は自分のすべきことをして、キャリアを楽しんでいる。彼に必要なのは・・・
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