昨年11月の明治神宮野球大会決勝は、東西スラッガーによる直接対決で、空前の盛り上がりを見せた。初優勝に貢献した履正社高(大阪)の主砲は、早実・清宮幸太郎の実力を素直に認めながらも、ライバルとしての対抗心を持ち続けている。出場が確実のセンバツ甲子園(3月19日開幕)では、春の主役に上り詰めるつもりだ。 取材・文=谷上史朗、写真=毛受亮介 
昨年11月末の時点で高校通算45本塁打。神宮大会決勝で主将・清宮が率いる早実を制して初優勝を遂げたが、「レベルは清宮のほうが上」と冬場はバットを振り込んでいる
女子駅伝V監督の父と相談し「プロ一本」に決断
昨秋の近畿大会、神宮大会を制した覇者のグラウンドは賑やかだった。1月4日の練習初日。選手たちは朝から大阪府豊中市にある学校近くの服部天神宮で初詣を行い、専用バスで茨木市内の練習グラウンドへ移動。練習開始までの間には、OB、各方面の野球関係者、スポーツメーカーの担当者らが、入れ替わり、岡田龍生監督らがいるネット裏の部屋を訪ねていた。
そして、その傍らでは
安田尚憲が記者に囲まれ、年末年始を語っていた。12月23日からは大阪選抜の一員として台湾遠征を行い、4試合を戦った。「かなりレベルが高かったです」と台湾勢の力を口にしたが、木製バットを使い「たぶん4割くらい」を打ち、高校通算45本目となる一発も放った。
30日に帰国した後は、三菱重工名古屋で主将を務める兄・亮太(PL学園高-明大)とトレーニングを行いながら、捕手目線からのアドバイスも受け、野球脳も刺激された。さらに年明けの3日には父・功氏が監督を務める薫英女学院高陸上部の練習を見学した。薫英は12月25日に京都で行われた全国高校駅伝(女子の部)で2年ぶり2度目の日本一に輝いたチャンピオン集団だ。
「僕が見ていても走っている目線が一切ぶれず走りに集中していて、あの集中力はさすがだと思いました」
「体には細心の注意を払ってケアは欠かすことなく行っていると聞きました。意識の高さはチームとしても見習うべき点だと思います」
3年前に大阪勢として初の日本一に輝き、昨年再び王座奪還。競技は違っても、チームを率いる父の存在は安田の成長に確かな影響を与えてきたのだろう・・・
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