第4回でWBCが最後と噂されている最大要因が「マネー」の問題だ。多くの支出がある割には利益が得られていないという理由が挙がっている。そこで、MLB機構に直接メールを送り第3回大会の全体収益や今後のことなど質問したが、確信を得る返答はなかった。しかし、大会で得た「収益」の使い道を世界で初めて本誌に明かしてくれた。それを公表しながら第3回大会の収益を試算し、大会の今後を占ってみた。スター選手たちを呼べるシステムも構築されてきているようだ。 取材・文=奥田秀樹、構成=椎屋博幸、写真=Getty Images 2005年にWBC構想を発表した当時のセリグMLBコミッショナー。メジャーの世界戦略の一環ではあるが大会を重ねるごとに、大会規模は大きくなっている
MLBからの返答メールに世界への巨額の野球投資
これまでWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の「お金」に絡む情報はごく一部しか報道されてこなかった。
昨年11月末、ESPNのクリスチャン・モレノ記者が「WBCの複数の情報筋から、しっかりした収益が出ない限りは2017年の大会が最後の大会になるかもしれないと聞いた」とつぶやき、波紋を呼んだが、後追いした多くの記事の中でも、具体的に過去の売り上げがいくらとか、支出がどうとか、ツイートの真偽を問う数字は何一つ示されなかった。
13年、第3回大会の前は日本代表のボイコット騒ぎがあった。第1回、第2回のWBCはジャパンマネーによる売り上げが大きかったが、取り分はMLBとMLB選手会に偏り不公平という申し立てである。その際、本誌では日本選手会の協力で、過去の大会の売り上げ、利益などを詳細に報じたが、それが公になった唯一のまとまったデータである。
そこで今回、第3回大会の数字を調べるべくMLBに問い合わせたが「WBCに関わる売り上げや賞金については一切発表していない」との返答だった。一方で・・・
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