
とにかくインパクトがあったデービス。速かった!
「あああ、アイツね……。いたいた! うるさかったなあ」
本誌でコラムをお願いしている野球解説者の
大島康徳氏は、その名前を聞いた途端に吹き出し、笑いながらそう言った。
77年、大島氏が
中日在籍時に入団した男だ。鳴り物入りというか、実際、空港に姿を現すまで、自らスーツ姿で出迎えた
与那嶺要監督ですら、本当にやって来るのか不安に思っていたというくらいの超大物だった。
ウィリー・デービス。ドジャースでメジャーに昇格し、通算2547安打、182本塁打、397盗塁を記録していた正真正銘のレジェンドである。すでに36歳ではあったが、前年もパドレスのスタメン外野手として141試合に出場。肉体的な衰えはほとんどなかった。
当時は、いま以上に日米の体格差があった。技術レベルも大きく違っていたし、メジャー球界は日本球界を完全に下に見て、日本球界もまた、メジャーの野球を比べものにならないくらいすごいものと認識していた時代だ。それだけに「なぜ、こんな大物が」と、だれもが不思議に思った。
来日の理由は宗教だった。
日本の仏教の熱心な信者であったデービスは、かねてから日本での生活に興味を持っており、条件度外視で中日入団を決めたらしい。入団後もロッカールームで必ず読経の時間があり、ロッカーが隣だった大島氏にとっては、単なる「うるさいヤツ」だったわけだ。
中日に対する唯一の条件が・・・
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