セ・リーグ随一の破壊力を誇り、広島の強さの大きな要因となっている打線。生え抜きの、さらに20代の選手が多く名前を連ねるラインアップはいかにして形成されたのか。石井琢朗打撃コーチにその過程を聞いた。 取材・構成=吉見淳司、写真=太田裕史 過酷な15年秋が力強いスイングの下地に
──2015年オフに守備走塁コーチから打撃コーチへ配置転換となりましたが、最初に取り組んだのはどの部分だったのでしょうか。
石井 チーム全体としての得点力不足の解消と、多かった三振数を減らすことです。プロとして、三振を恐れてバットに当てにいくスタイルはどうかな、とは思うのですが、三振をしてしまうと何も起こらない。バットに当てないことには始まらないし、得点力アップを考えても、まずは三振を減らしていこうと。そのためにもまずはもう一度、しっかり力強いスイングをみんなで求めていこうというテーマで、バットを振ることからスタートしました。
──当時在籍していた選手は「15年秋のキャンプは本当にものすごい量、バットを振った」と語っています。
石井 選手は憂鬱だったと思いますよ(笑)。僕自身の若いときでもあれほどは振らされていなかった。個人としては振っていましたが、メニューとしてあれだけのノルマを課せられることはなかったですね。とにかくメニューの中にスイング練習を組み込み、振らなきゃいけない環境を作りました。それまでも、個人的には振っていたと思いますけどね。とはいえ、そのノルマを達成できたかといったらできていないんですけど(苦笑)。ただ、まずはそういう意識づけから入りたかった。ほかにもいろいろなメニューを組みましたが、基本的にはこれをやれというわけではなく、意識を持たせることを重視していました。
──1日800~1000スイングが目安だったということです。
石井 宿舎に全選手の名前を貼って、正の字でスイングの数を書いて・・・
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