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新時代の主砲インタビュー

オリックス・吉田正尚インタビュー 一球で仕留める「四番起用の『期待』と『信頼』に応えて、チームに『安心感』を与えたい」

 

豪打ばかりではない。期待される本塁打こそ10本と、量産には至っていない中で、際立つのが得点圏打率3割超の勝負強さだ。好結果の要因である“意識”は『一球で仕留める』こと──。6月10日から四番に座るプロ3年目のバットマンは、自らの仕事を果たすため、準備と反省を欠かさない。
取材・構成=鶴田成秀、写真=佐藤真一、BBM


“うれしい悩み”からバットも昨季の形状へ


 日々の試合で得られるのは結果だけではない。見つかるのは課題も同じだけある。ただ、新人年から2年間、腰痛に泣かされた吉田正尚にとって、それは“うれしい悩み”。試合に出続ける喜びを持つからこそ“感覚のズレ”を早期に修正させ、成績も上昇気流を描いている。

──開幕前に掲げていた目標は『フル出場』。ここまで全試合出場を続けています。

吉田 『試合に出続けていること』よりも『この時期』に一軍で戦えていることがうれしいですね。ずっとケガで大事な時期にいなかったので。チームの順位が決まっていない中で、戦力としてプレーできている。キャンプ、オープン戦とシーズンに向けて準備をしてきた『過程』が正しかったのか。今年は、その過程が、しっかりシーズンにつながっているので。

──その過程を経て、試合に出続けてきた中で新たに感じることはありますか。

吉田 長いシーズンを戦う中で、やっぱり(調子の)波をなくさないといけない。そのために、良い悪いではなく、出た結果を次につなげていければと思っています。昨年までを考えれば『うれしい悩み』ですよね。その悩みを、どれだけ次に生かせるか。その繰り返しです。

──4月を終えて打率.260と調子が上がらなかった中で、5月に入ってから昨季のバットに戻したそうですね。

吉田 それが良い方向に向いているのかなと。開幕してから、ずっと調子がこう(手を低く伸ばして)だったんですけど。戻してからは、こうなって(手先を上に向けて)きたんですよね。

──今季からグリップ寄りを太くしたバットに変更し、理由を『体の中でボールをとらえるため』と言っていましたが、戻した理由は何だったのでしょうか。

吉田 感覚のズレが一番です。『とらえた!』と思ってもファウルになることが多くて。戻したのは、いつだったかな……。ほっと神戸で、西武の多和田君(多和田真三郎)が投げた試合からだったと思います(5月19日)。

──『バットを戻す=ポイントを前にする』が狙いではない?

吉田 それは結果的な部分。一番大事なのは自分の感覚ですから。自分が思っているとおりにバットを振り、ボールをとらえられるか。そこに少しズレが生まれたので、(バットを)戻したんです。

──感覚のズレは打席内で感じていたことなのでしょうか。

吉田 打席でもそうですし、僕は試合後に映像で自分の打席を確認して復習するんですけど、そこでも思っていたんですよね。修正しないと結果が出ない。そう感じたので戻しました。

──ミスショットをなくすために?

吉田 はい。試合後の映像で見る個所は、ケースによって違いますし、いろいろあります。自分のスイングもそうだし、相手投手のことも見ます。その中で、やっぱり思うのは、1打席に打てるボールは1球あるかないか。良いピッチャーになるほど、甘いボールが来ない打席がほとんどです。だから、『一球で仕留める』ことが大事になってくるんです。

バット変更前※4月5日のロッテ戦第5打席でのファウル。結果は三振


バット変更後※5月22日の楽天戦第2打席で右翼への本塁打/昨年使用していたバットに戻すと、感覚のズレがなくなり成績が向上。写真上のように「とらえたと思ったのがファウルになっていた」[吉田]ことが改善され、ボールをとらえる確率が上がったのが要因だ


──確かにファウルになった後、歯を食いしばるように、悔しそうな表情を浮かべる打席も見られます。

吉田 本当ですか? あんまり顔には出さないようにしているですけどね(笑)。相手投手も見ているところだと思うので。

──吉田選手もプロ3年目。注目度が増し、相手はデータも得ています。警戒され、攻め方も厳しくなっているのも『甘いボールが来ない』一因だと思います。

吉田 だからこそ、一球で仕留めないといけないんですよね。マークが厳しくなっても、そこで結果を残さないと先にいけない。相手だって、抑えようとして投げているわけですから。

── 一方で、今季は初の交流戦も経験し、初対戦の投手からも結果を残しました。初対戦という点では、どのような対応を心がけていたのでしょうか。

吉田 対戦回数を問わず、打席に入る前の準備です。走者がいるか、いないか。試合展開もそう。相手と状況を把握したうえで、それに対して『自分の仕事』をすることが一番です。

──中でも印象に残った試合を広島との3連戦(6月12〜14日、京セラドーム)を挙げていますが。

吉田 チームが3つ勝てたことも大きいんです。僕も結果を残せましたし、そういう意味で印象深い試合なんですよね。

──吉田選手自身も13日の2戦目には、死球を受けた次の打席で3年連続2ケタ本塁打となる10号アーチ。それも、外角の直球を逆方向へ。死球の直後にもかかわらず踏み込んでの本塁打でした。

吉田 あの死球は『内角攻め』というより、岡田君(岡田明丈)の指に引っかかった結果、内角に来た感じだと思うんです。痛かったですけどね(笑)。だから、そこまで内角ばかりを意識しているわけでもなかったんです。それに、岡田君の武器は強いストレート。だから、真っすぐへの意識のほうが高かったんです。

── 一方で態勢を崩しながらも、変化球をうまくバットで拾って安打にする打席も多いです。どの球種を待っているのか、分からない面もありますが。

吉田 それが理想で、目指している形なんです。そもそも僕は球種を1つに張るほうではない。相手投手の情報を得ながら割合で考えるタイプなんですよ。この投手なら『直球7、変化球3』、あの投手なら『直球4、変化球6』というふうに。だからこそ、準備が大事になるんですよね。試合に出続けるために、試合前後には体のケアを大事にしていますが、出場を続けるためには、『試合そのもの』への準備、対戦投手の情報を頭に入れることも忘れてはダメですから。

──結果、交流戦は打率.397、3本塁打、11打点でMVPを受賞しました。

吉田 交流戦は新鮮な気持ちで純粋に楽しめましたね。でも、シーズンは続くので。これからが、もっと大事です。

自分の仕事を果たして“恐怖心”と“安心感”を


 豪打と巧打で打線をけん引する中で、大事にしているのは「準備」と言い切る。すべては、自分の仕事を果たすため──。幅のある打撃を続け、相手に“恐怖心”を抱かせ、味方には“安心感”を与える。“新四番”の信頼に応える結果を残したうえで、意識するのは“存在感”だ。

──6月10日からは“四番”での起用が続いています。打順によって、考えが変わることはあるのでしょうか。

吉田 特にはないです。四番にしても『4人目に打席に入る』という考えですし。ただ、三番と大きく違うのは『1打席目』ですよね。四番が初回に打席が回ってくる場合は、走者がいるケースがほとんど。得点のチャンスということなので準備しやすい打順ではあります。でも、2打席目以降は、試合展開によるので、どの打順でも同じ。大事なのは、自分の仕事を理解して打席に入ることです。チャンスメークをするのか、打点を挙げにいくのか。そこを整理すれば、打順によって何かが大きく変わることはありません。

──高校、大学でも四番を担ってきましたが、敦賀気比高時代は『打たないと』の思いが空回りしたと言っていましたが。

吉田 その経験が大きいんですよね。高校1年から四番を打たせていただき、3年の夏は『自分が』と焦って。その結果、バットが振れなくなってしまったんです。悪循環に陥って、最後の夏は甲子園にも行けませんでした。あの経験もあって、打順ではなく『自分の仕事』が大事と思えるようになったんです。

──6月21日の阪神戦(甲子園)で右足首をねん挫し、2試合は代打で出場。この経験からも、何か得たものはあったのでしょうか。

吉田 代打も勉強になりましたね。ケガをしたことは、良いことではありませんが、これをムダにしてはダメ。1打席勝負の難しさと同時に、やっぱり『準備』の大切さを、あらためて感じました。ベンチにいても試合状況や相手投手のことを、より整理して、理解して打席に入る。その中で今の『自分の仕事』は何かを考えないと、良い結果は出ないので。

──常に口にする『幅のある打撃』は、まさに『あらゆるケースに対応する』ことにつながるのですね。

吉田 チャンスメークもできて、ホームランも打てて試合も決められる。相手に恐怖心を与えられる打者が理想なので。でも、まだまだ。すべての面でもっと、上を目指していきたい。目の前の試合に向かって全力で挑むだけです。

──『自分の仕事』を果たせば、自ずと成績も上がっていく、と。

吉田 そうですね。シーズンも終盤になるほど、より甘いボールは減るので、しっかり一球で仕留められるように。今は四番で使っていただいているので、その『信頼』に応えたいですし、周りに『安心感』を与える打者になっていきたいです。

四番打者診断


投手からの視点。数字は打数-安打&打率、丸数字は本塁打数


 対左は成績が落ちるものの、交流戦では巨人田口麗斗内海哲也DeNA東克樹今永昇太らから計6安打と数字以上に苦手意識はない。対右では9コースのうち8つが3割超、対左も甘いボールを逃していないのは4つのが物語る。相手先発が左腕の際、右打者を並べるオーダーを組むチームの中でも「正尚は関係ない」と福良淳一監督が口にするなど、不動の四番となりつつある(成績は6月30日時点)。

結果から生まれる“存在感”も意識する。不動の四番となるための資質は十分だ/写真=高塩隆


PROFILE
よしだ・まさたか●1993年7月15日生まれ。福井県出身。173cm83kg。右投左打。敦賀気比高、青学大を経て2016年ドラフト1位でオリックス入団。開幕スタメンを勝ち取り、8月18日のプロ初アーチ以降37試合で10本塁打とアーチを量産した。昨季は腰痛が再発し開幕直前に離脱も、7月に復帰すると、力強いスイングを見せ、2年連続となる2ケタ12本塁打を記録。全試合出場を掲げて挑んだ3年目の今季は、開幕からフル出場を続けて6月10日からは四番に。若き長距離砲として、チームの顔に成長している。


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※締め切りは2018年7月16日(月)、当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます。※ご応募いただいた個人情報は、懸賞の目的以外での利用はいたしません。
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