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V直前!2018広島特集

広島OB・山崎隆造氏(野球解説者)が語る 強さの裏に確かな成長

 

マジック点灯後も広島の強さは変わらず、リーグVまであと少し。現役時代5回の優勝を経験し、連覇の難しさも知る山崎隆造氏に、球団史上初のリーグ3連覇という偉業を成し遂げようとしているチーム、選手について語ってもらった。

山崎氏が二軍時代に指導してきた丸佳浩


何よりも勢いがある!


 私自身、開幕前から優勝は視界に入っていましたよ。もちろん3連覇の難しさも感じてはいました。ほかの5球団が戦力を補強するなどして「打倒・広島」で向かってくるわけです。相手が変わる中で勝負の厳しさを考えたら……。それでも、今のカープは何よりチーム全体に伸びシロがある。勢いがある。非常に期待できるなと楽しみにしていました。

 主戦力のマイナスもなかったですし、若い選手が多く、今が旬です。それにプラスしてさらなる若手もどんどん成長していますよね。今年は主力選手にケガが相次ぎましたが、アクシデントは想定内のこと。それを感じさせない層の厚さがありました。野手では野間峻祥、投手ではフランスアなど、代わりに出てきた選手が活躍してくれました。

 過去2年の優勝経験も大きいですよ。優勝とともに勢いが増してきた。優勝することによって自覚というか、毎年個人的にもチームとしても目標が高くなります。より高いレベルを求めるようになるのは自然の摂理。それがいい方向に向かって、今年でいうと野手陣の攻撃力が輪をかけてよくなっているというイメージがあります。投手陣に昨年より劣っているかなと感じる部分があってもそれをカバーする得点力は見事です。

教え子たちの成長と若き四番


 今の主力選手たちの中には、丸(丸佳浩)や松山(松山竜平)など私が二軍監督時代(2006〜11年)に指導していた選手も多いです。当時、あれだけ一軍へ一軍へと言っていた選手たちの言動が変わってきているのを目の当たりにしています。

 特に丸なんて僕の想像以上に技術も考え方も成長したなと思いますよ。個人的な目標もある中で、チーム愛というか勝利への思いが強い。「こうしなきゃ勝てないんですよ」とか高いレベルで物足りなさを語ることもあります。僕がまだユニフォームを着ていたときは一、二軍を行ったり来たりで弱気な部分を見せることもありましたが。非常にたくましくなってくれたなと思いますね。

 中崎(中崎翔太)も僕のイメージをいい意味で裏切ってくれました。足は遅い、見てのとおり風貌から人の良さがにじみ出ている。それでもよかったところは、とにかくコツコツ地道にやるタイプだった。そして、ピッチャーとしても面白い球を投げていたんです。真っすぐがカット系のボールだったんですよ。彼の持ち味でしたね。そこからスピードが150キロを超え、まさか抑えを任せられるようになるとは。チーム事情などもあった中で守護神としてうまくハマり、地位を確立してくれましたね。

山崎氏が二軍時代に指導してきた丸、中崎[写真]らが主軸としてチームを引っ張っている


 教え子ではありませんが、誠也(鈴木誠也)も目が離せない選手です。体も強い。勝負強さも持ち合わせている。彼は昨季、ケガで苦しみました。私も現役時代、ケガの経験がありますが、離脱中は「もう野球ができないんじゃないか」という思いとの闘いです。だからこそ復帰したときの喜びは大きい。ケガに対する恐怖心から消極的な部分も少しはありますが、それを乗り越えるとひと皮むける。新しい自分が現れます。

 今年の誠也がそうです。誠也は若いのに精神力が強い。若くして四番を任されたら重圧に押しつぶされてもおかしくないのに、それを跳ね除ける力を持っているということですよ。攻守走に精神力、全部そろっている。どこまで伸びるんでしょうか。

マツダのファンが空気を一変する


 また、今のカープを支えている存在の一つにファンの力があります。ファンの力ってすごいんですよ。私が現役、コーチのときは甲子園に行くとものすごく流れを変えられました、ファンによって。昔のカープといったらガッラガラ。対して、阪神はいつも満員に近いような状態。甲子園でカープの応援団といったらレフトの上のほうに追いやられていましたよ。全体が阪神ファン。カープがリードしていても1点でも返せば「それいけー!」とばかりにファンが雰囲気を盛り上げる。何とも言えない不気味さを感じていました。

 逆に今はマツダ(スタジアム)がまさにそう。今も甲子園はすごいのですが、私としてはマツダが昔の甲子園と重なります。何点差でも逆転できる雰囲気を醸し出しているし、実際に後押しは選手たちも感じている。だから一体感がものすごくある。お立ち台で選手たちが必ず「後押しをありがとうございます」と言うでしょ。あれはお世辞でもなんでもなく、自然に発せられる言葉だと思う。私も球場にいて空気が一変する瞬間を何度となく体感しています。今年はファンの後押しを生かして悲願の日本一を達成してほしいものです。

 昨季、チームはクライマックスシリーズで涙をのみました。それでも選手たちはリーグ優勝の“誇り”を持っていました。短期決戦は難しいものです。受け身にならず、常にチャレンジャーの気持ちで。昨季の悔しさを晴らしてもらいましょう。

PROFILE

やまさき・りゅうぞう●1958年4月15日生まれ。広島県出身。右投両打。崇徳高で76年センバツ初出場初優勝を飾り、77年ドラフト1位で広島入団。スイッチ転向後の79年から着実に出場機会を増やすも、81年は負傷離脱。翌82年に復帰すると、主に二番打者として機動力野球を引っ張り、84年から6年連続で全試合出場を果たした。93年限りで現役引退。引退後もチームに残り、二軍監督など2011年まで後進を指導した。通算成績は1531試合、1404安打、88本塁打、477打点、228盗塁、打率.284。
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