いつ何時もチームに、選手に目を光らせる。最善の結果を導くには何をすべきか――。自らの理想とする野球にとらわれることなく勝利を追求した指揮官は、就任2年目の2018年、パ・リーグの頂点に立った。 写真=BBM 理想に固執しないチーム作り
本音だった。シーズンを通してずっと胸に抱いていた思いが自然と口から出た。
「すごいな。本当に。こいつら。エラーしても動じないんだからね……」
9月24日、
楽天生命パークでの楽天戦だった。1点を追う4回に
浅村栄斗、
山川穂高、
栗山巧が逆転の3者連続ホームランを放ち、同点で突入した延長10回に
中村剛也が決勝のソロを放って勝利。試合の中盤にいずれも失点につながる失策を犯した山川、浅村、中村が、文字どおり打って返した試合後の言葉だった。ミスしても取り返せばいい。最後まであきらめない。だが、それは監督就任後、指揮官がチームに植えつけた意識が浸透したことの表れでもあった。
球団史上初めて開幕から一度も首位を譲らないままリーグ優勝を果たした。得点はシーズンの球団新記録を樹立。山川、浅村、中村、
秋山翔吾の4選手が20本塁打をクリアした。日本人選手の20発カルテットも球団史上初めて。チーム防御率がリーグワーストでの優勝は、2001年に“いてまえ打線”で優勝した近鉄以来だった。「チーム防御率を考えたら、普通に考えて5点以上取らないと勝てない。その中で、今のチームの戦い方はこれだと思ってる。この打線は大きな武器。ライオンズの一番の魅力だと思う」。
辻発彦監督はそう言ったが、本当の・・・
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