
今年は5度にわたる抽選バトルが展開された
午後3時過ぎ、グランドプリンスホテル新高輪のロビー付近は、
大勢の関係者でごった返していた。メディアの人たちはホテルに入る人の動きに目を光らせている。直前まで、何らかの情報を得たいのが記者の性。知りたいことは一つ、「1位に誰を指名するか」だ。
午後5時過ぎ、ドラフト会議がスタート。メディアは別室で無音のテレビモニターを見守ることになる。一番人気は「6球団指名か」ともウワサされた
根尾昂(大阪桐蔭高)。どの球団が、そしていくつの球団が指名するのか。1位入札の作業が終わるころには、パソコンのキーボードをたたく音も弱まっていた。
「
藤原恭大」。根尾の指名が濃厚と目されていた
楽天が、フタを開けてみれば……。すると
阪神、
ロッテと3連続で藤原の名が読み上げられ、そのたびに記者室の「おおっ!」の語尾が高くなる。裏をかいたと思いきや、結局同じ結果になってしまうのはありがちな出来事。「一番人気は藤原?」とざわついた矢先に
中日が「根尾昂」。今度はやはりといったトーンの「おおっ!」の声が上がった。
だが今度は、
オリックス、
DeNAが続けて「
小園海斗」。三つ巴の争いとなり、「どうなるんだ?」というムードに。それでも皆、競合を楽しんでいるようだ。最終的には本命が巻き返し、「根尾4」、「小園4」、「藤原3」と仲良く(?)分かれた。この争いの裏で、
西武が
松本航(日体大)の一本釣りに成功している。
そして運命の抽選、見事に根尾をゲットしたのは、最初にクジを引いた中日だった。すると記者室の一部からは一際大きな歓声が!おそらく、中部地方に本拠を置く新聞社だろう(確認はしていないが)。
1巡目の入札、抽選がすべて終わると、記者室は“戦場”と化す。まずは隣の特設ブースで12球団監督の囲み会見が行われるため、記者たちは一斉に大移動。その後、速報記事作成に入るのだ。ただ、それだけではない。ウエーバー、逆ウエーバー順に続いていく2位以降の指名が終わるたびに、各球団からは五月雨式に選手プロフィル用紙が用意される。うかうかしていると品切れになるため、待ち受ける記者たちはピリピリムード。「○○の紙がない!」と怒号が飛ぶこともあった。
育成の指名がすべて終わったのが、午後8時半過ぎ。どこからか「よおっ、パン!」と一本締めの声。ついさっきまでごった返していた記者室は、すでに人影もまばらとなっていた。表現するなら「祭りのあと」。喧騒から解放された安ど感と、何とも言えない疲労感。「編集部に戻りますか」と本誌取材班。週刊誌は、帰社後が本当の戦いとなる。配布されたリポビタンDをぐっと飲み干し、自らを鼓舞するように、心の中で「ファイト一発!」と叫ぶのだった。