高校生に人気が集まった今ドラフト。1位は将来性も加味した指名となっただけにウエーバー方式に切り替わった2位は、“即戦力”の呼び声高い逸材たちがズラリ。中でもすぐにでもチームの主力となりうる編集部イチオシの7選手を紹介していこう。 中日・梅津晃大(東洋大) 潜在能力高き153キロ右腕。勝てる投手へ
東洋大の153キロ右腕・梅津晃大は入学時から潜在能力の高さを期待されていたが、1年夏にイップスに陥った。投げられずに苦しんだ時期にも「チームを勝たせたい」と地道な練習を重ねた。“自分のため”ではなかった。そんな彼の姿を見てきたチームメートたちは、梅津を「勝たせてやりたい投手」と言う。
リーグ戦未勝利で迎えた今秋。梅津はドラフトのためではなく、「チームのために」と、勝利への執念を見せた。10月18日、大学ラスト登板となった国学院大3回戦で初勝利。そのとき、梅津は「ウイニングボールは母に渡します」と言った。実はその3日前、母・明美さんが脳出血で倒れたという連絡を受けていた。ウイニングボールには、病床の母を見舞う気持ちが込められていたのだ。
ドラフト会議で
中日からの2位指名を受けると、「病院で見ている両親にいい報告ができてよかった」と感情を抑えるようにして言った。
「大学で1勝しかしていないのは少ないけど、プロでは誰よりも勝てる投手になりたい」。チームに貢献したい気持ちは誰よりも強い。そんな梅津はプロでも「勝たせたい投手」と、周りから応援される投手になる。(取材・文=佐伯要、写真=高塩隆)
PROFILE うめつ・こうだい●1996年10月24日生まれ。宮城県出身。187cm90kg。右投右打。南小泉小2年時から南小泉メッツで投手として野球を始め、県大会出場。仙台育英秀光中では2、3年時に全国大会出場(控え投手)。仙台育英高では8強に進出した2年春のセンバツ(背番号11)出場も登板なし。同秋からエースで3年夏は県大会4回戦敗退。東洋大では3年秋にリーグ戦デビューし、神宮初登板で151キロを計測し注目を集めた。
ヤクルト・中山翔太(法大) 六大学通算11本塁打の和製大砲。豪快かつ柔らかな打撃
東京六大学通算11本塁打。豪快なフルスイングが持ち味の右の強打者だが、追い込まれてからの柔軟性もあり、逆方向へおっつける打撃も得意だという。リーグ戦通算打率.306が物語るように、対応力はプロでも武器になる。
野球のためなら、節制も苦にならない。肉はささ身のみ、脂の多い揚げ物、カレーには手をつけず、甘い物、ジュース、ジャンクフードはもってのほか。週5回のウエート・トレにより、本格的に取り組み始めてから2年で、体脂肪率は17%から11%に。身長185センチ、体重95キロの中山翔太は「ターザンのようになりたい」と本気で語る。
日ごとに脚、胸、背中、肩、腕と部位に分けて追い込み、筋肉隆々である。法大・青木久典監督から名付けられたニックネームは、同姓のタレントにちなんで「きんに君」だ。
大学4年間、成長してきた神宮を本拠地とする
ヤクルトからの2位指名に縁を感じている。チームには履正社高の先輩・
山田哲人がいる。憧れの人と打線を組むことが目標で「三冠王を獲りたいと思っています。特にホームランで群を抜いていきたい」と、理想のプレースタイルは今季、
西武で本塁打王に輝いた
山川穂高。バットで勝負する覚悟だ。
PROFILE なかやま・しょうた●1996年9月22日生まれ。大阪府出身。185cm95kg。右投右打。小学生で軟式野球を始め、中学時代には東成シニアに所属。履正社高では2年秋から四番に抜擢。3年春の甲子園準Vメンバー。大学で2年春にリーグ戦デビューし、2年秋に開幕スタメン入り。3年春からは不動の四番としてチームをけん引している。今春には初のベストナインに輝いた。夏は六大学選抜チームの一員として世界大学野球選手権に出場。
広島・島内颯太郎(九州共立大) 伸びシロ十分の本格派右腕。無名から4年間で急成長
九州共立大の投手陣には、名物メニューがある。全体練習後、ポール間を一人、黙々と走り込む。試合中のマウンド上は孤独だからこそ、自主練習が力の源となる。島内颯太郎は憧れの
大瀬良大地が続けてきた伝統を継承してきた。そして、ドラフトでは
広島から2位指名を受け、先輩と同じチームでプレーできる事実に胸の高鳴りを抑えることができない。
「2位という予想より高い順位で指名していただき、うれしいです。広島ファンは温かみがある。マツダスタジアムで投げるのが楽しみ。一日でも早く一軍の戦力になりたい」
大学4年間でストレートの球速は10キロアップし、最速は152キロを誇る右腕。福岡の県立校である光陵高校時代は、県内でも目立つ存在ではなかった。3年夏の県大会3回戦敗退。「甲子園は夢のまた夢。プロなんて口にできません」。九州共立大には自らセレクションを申し込んで、売り込んだたたき上げだ。
ただ、同大学・上原忠監督は早くから島内の潜在能力の高さを評価。投手育成に定評のある環境で“原石”を着々と磨いてきた。
「真っすぐで押せる投手になりたい」
伸びシロ十分の本格派右腕は来季からの即戦力の可能性も十分に秘めている。(写真=湯浅芳昭)
PROFILE しまうち・そうたろう●1996年10月14日生まれ。福岡県出身。180cm78kg。右投右打。福間小3年時から投手兼遊撃手で野球を始め、福間中では筑前地区大会出場。光陵高では1年秋から背番号11でベンチ入りし、2年夏からエース。3年夏は県大会3回戦敗退。九州共立大では2年春にリーグ戦デビューも、同秋は右ヒジの離断性骨軟骨炎により登板なし。3年春に戦線に戻り、秋は3勝を挙げてリーグ優勝(MVP受賞)。12月には大学日本代表候補強化合宿に招集された。