NPBでの現役続行なるか――。NPB所属の12球団から戦力外通告を受けた選手たちに復帰への挑戦権を与える12球団合同トライアウトが、11月13日に福岡県筑後市タマスタ筑後球場で開催された。48人の受講選手たちが、1球に魂を込め最後となるかもしれない戦いに挑んだ。その1日に迫る。 取材・文=椎屋博幸 写真=榎本郁也 
11月13日の12球団合同トライアウト前に説明を聞く選手たち
現役続行は難しいからこそ
投手がマウンドに上がる。打者が打席に立つ。そのたびに大きな拍手が起こる。タマスタ筑後のスタンドを埋め尽くした人たちの眼が1点に注がれる。もしかしたら最後の投球、最後の打席になるかもしれない。その雄姿を目に焼き付けるファン。毎年3人未満のNPB復帰しか叶わない現実と向き合う戦力外の選手たち。さまざまな感情が渦巻く。それがプロ野球12球団合同トライアウトなのだ。 5536人の熱心なプロ野球のファンが48選手の戦いを最後まで見守った。毎年各球団が持ち回りとなっているこのトライアウト。今年は
ソフトバンクが担当で福岡県筑後市にある二軍施設、タマスタ筑後を使用。JR博多駅から電車で約1時間。さらに座席が3000席しかないため“遠方からのファンも見ることができるように”という配慮により、初めて有料となり、整理券を配った。
一部には無料席もあり、朝7時過ぎには整理券を求める有料席のファンと無料席の2つの長蛇の列ができていた。年末のテレビ番組で戦力外を受けた選手がこの合同トライアウトを受ける様子などが映し出され、人気を博している。さらにプロ野球の場に戻れる選手が毎年3人にも満たないという厳しい現実が拍車を掛け、この合同トライアウトは、年々大きな盛り上がりを見せている。

タマスタ筑後のスタンドは開門と同時にファンで埋め尽くされた
今回も整理券を求め先頭に並んだ5人の女性グループは前日の夜9時から並んでいた。一方、一塁側入り口の無料席を求めた先頭のソフトバンクファン・瀬戸政史さん(44歳)は、毛布とイスを持ち込み夜0時半から並んでいたという。
「城所(
城所龍磨)のファンです。守備の一歩目の速さが好きで、ずっと応援していました。まだまだ現役でやれる力はあると思っているし、そうなってほしい。でも、もしかしたら最後になるかもしれないと思って、絶対に今日見たいと休暇を取ってここまできました」

元巨人の中井大介。最後となるかもしれない舞台にスーツを着て球場入りした
近年の傾向として・・・
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