新時代を迎える2019年のペナントレースで、大きな注目を集める移籍選手たちの“いま”を紹介しよう。 写真=榎本郁也 ※年齢は2019年の満年齢 
シーズンで結果を残すために独自の調整法でキャンプを行っている西
軽く投げたボールがグングンと伸びグラブに収まる。キャッチボールのときから、存在感は際立っている。
オリックスから加入した
西勇輝。自分のペースを保ちながら歩みを進めている。
キャンプイン初日から、予定になかったブルペン入りをする。しかも第1クールの3日間とも投球練習を行った。一見するとオーバーペースに見えるが、これが西流の調整法なのだ。キャッチボールのときからすでに始まっている。
相手は
飯田優也。周りの投手陣がゆっくりと距離を取る中、西がみるみるうちに距離を広げていく。気がつくと西─飯田組だけが遠投に。その1球1球に集中し投げるため、飯田は前後左右に動くことなく捕球できる。ベテラン・
藤川球児も近くで遠投を行っているが、この2人の遠投のボールの軌道、質はよく似ている。実績のある投手だけに、キャッチボールに説得力がある。
第3クールに入っても、投手陣のランニング強化は続いている。この走力練習も率先して始めるなど、練習に対する姿勢は積極的。ホテルの食堂でも若手の近くに座り、コミュニケーションを取る。
オリックス時代も、疑問などがあると自ら先輩たちに質問をする姿があったが、
阪神に移籍してもバイタリティーあふれる行動に変化はなく、自分の信念の下に動いているのだ。
ただファンの多さには少々戸惑った部分もあるが、そこは慣れればいいだけのこと。長いイニングを投げられ、ケガに強く1年間投げられることが西の強みで、阪神もこれを期待しての獲得となった。それ以上に、西流の調整が阪神の若手投手陣に刺激を与えることは確かだ。
「ここまでは自分の思いどおりにやらせてもらっています」としっかりと自分の中でプランを立てながら調整を行っており、笑顔も見せる。
もちろん、首脳陣は先発ローテの軸の一人として大きな期待を懸けている。その期待に応える──というよりも、まずはしっかりとした調整を行うことが、期待に応えることにつながることを知っている。開幕に向け、焦ることなく自分の体と対話しながら、シーズンへ向けて歩みを進めていく。
PROFILE にし・ゆうき●1990年11月10日生=29歳。三重県出身。181cm80kg。右投右打。菰野高―オリックス09(3)―阪神19