誰もが驚く成長曲線を描いている。プロ2年目の今季、シーズン終盤までレギュラーとして試合に出続けている。本塁打、打点部門でタイトルの手の届く位置にいる19歳の若きスラッガー。その奮闘の日々を追った。 写真=田中慎一郎、BBM 
結果が出ても出なくても、打撃に対する試行錯誤は変わらない
予想外の快進撃
怪物、怪童、化け物、大物、新星、天才、規格外……。これまで若くして才能を開花させた選手は、さまざまな称号で形容されてきた。
ヤクルトの
村上宗隆はその逸材たちが残した偉大な記録を、次々と塗り替えようとしている──。
8月27日の
DeNA戦(横浜)。0対0の2回だった。新人王を争う
上茶谷大河の145キロをとらえると、乾いた打球音が響く。中堅左へ先制31号ソロ。10代では
清原和博(
西武)が新人だった1986年の記録に並んだ。さらに打点は86とし、「怪童」と呼ばれた
中西太(西鉄)の高卒2年目の成績に到達。それでも村上は淡々としていた。「結果は後からついてくるものだと思っているので」。決して表情は崩さなかった。
新人だった昨季は初打席本塁打で度肝を抜き、飛躍を期して臨んだ今季。オフは先輩の
青木宣親らとアメリカ・ロサンゼルスで合同自主トレーニングを行い、プロとしての心構えをたたき込まれた。青木の体のケアに対する意識の高さ、フォームの試行錯誤の大切さ、1本の安打に対する執着心を目の当たりにした。
オープン戦を経て開幕戦を「六番・三塁」で迎えたが、当初は一軍レベルの速球に苦しんだ。育成を念頭に置いて起用を続けていた首脳陣も、我慢の限界を迎えつつあった。リーグ内の対戦が一巡する4月12日からの
巨人3連戦で一軍残留か二軍落ちかを決めることに。打率1割台に低迷していた村上にとっては最大の・・・
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