ここでは公立校をけん引した逸材を紹介する。惜しくも甲子園出場は逃したが、10月17日のドラフト会議での指名を待ち、次のステージでの飛躍を誓う。 取材・文=上原伸一 写真=黒崎雅久 
今夏の群馬大会は準優勝。甲子園にはあと一歩届かなかったが、大会後も練習を継続。8月中旬には最速を2キロ更新する146キロと成長段階にある
ドラフト候補の高校生は、中学時代から脚光を浴びた選手が少なくない。だが、
井上温大はエリートとは対極の「普通の投手」だった。大胡中では前橋市大会準優勝で県大会へ駒を進めたものの、初戦敗退。目立つ存在ではなかったが、前橋商高OBの住吉信篤監督は、当時から潜在能力を見抜いていた。
「上体の動きが柔らかく、腕の振りがしなやか。これは教えてもなかなかできません。体ができてくればいい投手になるな、と。井上の父親が仕込んだのかな、と思いましたね」
右投手だった井上の父・典之さんと住吉監督は小学校時代から対戦があり、お互いをよく知る間柄。井上は、住吉監督が「しなやかだった」と記憶する父の手ほどきを受けた。
「野球を始めたころからよくキャッチボールの相手をしてくれた父は、フォームがとてもきれいでした。フォームは、それを見て身に付けた感じですね」
父は樹徳高でプレーし、井上も高校進学に際して選択肢の一つではあったが「公立で私学を倒したい」という思いが強く、前橋商高へ進んだ。入学当時の印象を、住吉監督は語る。
「体重が60キロもなく、ストレートは120キロくらい・・・
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