今回は、連続写真で今年のドラフト1位指名候補2人、さらには、歴代のレジェンドたちを紹介していく企画ではあるが、ここでは「日本でもっとも速い球を投げる男」となる可能性が高い“令和の怪物”の現在地と可能性について、少し掘り下げておこう。 写真=高原由佳 
U-18W杯の韓国戦では1回で降板となった
163キロで一躍全国区に
9月5日、U-18W杯が開催された韓国・機張郡にある試合会場のブルペン。ナイトゲームとなったカナダとのスー
パーラウンド初戦で、大船渡高の
佐々木朗希は救援に備え、力のこもった投球を続けていた。あくまで目測だが、155キロは軽く出ていたように思われる。
照明はブルペンまではあまり届かず、受ける捕手はボールが見えづらい。佐々木の“専属捕手”であった
水上桂(明石商高3年)は「一球たりとも気が抜けません。ウチには中森(
中森俊介)という右投手(最速151キロの2年生エースで春夏連続甲子園4強)がいるんですが、怖さはない。それが(佐々木は)球の重さ、球質も途中からグーンと伸びてくる。(ミットをはめる左の)人さし指の付け根が痛いです」と、初体験の剛速球に目を丸くさせていた。
科学的根拠を、実戦に生かすための研究を重ねる朝日大・林卓史准教授(昨秋まで慶大助監督)によれば、佐々木の回転数は「160キロで2400~2500をマークしていてもおかしくない」と話す。MLBの一流レベルが2300回転で「ホップ系ではありませんが、ボールの伸びが素晴らしい。フォームにロスがなく、エネルギーをうまく伝えている」と称賛する。この日の登板はなかったが、翌6日、韓国戦での先発が予定されており、期待は高まるばかりだった。
時計の針を戻そう。2019年4月6日。佐々木朗希の人生は転機を迎えた。高校日本代表第一次候補として参加した「国際大会対策研修合宿」の紅白戦(ケース打撃)で自己最速を6キロ更新する163キロを計測。同じ岩手県出身の花巻東高・
大谷翔平(
日本ハム-現エンゼルス)が12年夏の岩手大会準決勝(対一関学院高)でマークした160キロを上回る「高校生最速」に騒然となり、「令和の怪物」は一躍、野球ファンだけなく、国民から関心を集める“全国区”となった。「昭和の怪物」は作新学院高・
江川卓(元
巨人)、「平成の怪物」は横浜高・
松坂大輔(現
中日)。2人はチームを支える絶対的エースとして、大事な試合は必ずマウンドにいた。
しかし、佐々木は歴代の怪物とは歩みが異なる・・・
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