ついにその瞬間を迎えようとしている。巨人、DeNA、広島の争いとなったセ・リーグの覇権争いは、5年ぶりV奪回を目指す巨人が9月10日に優勝マジックを再点灯させ、いよいよカウントダウンへ。8月6日には2位・DeNAと0.5ゲーム差までその差を縮められていたが、8月に大きく貯金を作って抜け出した。終盤戦の戦いを振り返る。 ※記録は9月15日現在 
来日初先発のクックが4回途中で降板。打線はDeNA先発の今永に5回まで1安打に抑えられたが、6回に四番・岡本が2ランで逆転に成功/写真
打線が窮地救う
9月10日から始まった、2位・DeNAと3位・広島との5連戦は、ペナントレース最後のヤマ場と位置付けられていた。8月31日から6連敗を喫していた巨人は、7日の
ヤクルト戦(神宮)で連敗を止め、ようやく9月初勝利。4日(
中日戦・前橋)には先発したエースの
菅野智之が腰痛の再発で緊急降板、翌日登録抹消となるなど、チーム状態は決して万全ではなかったが、DeNA、広島もそろって星を伸ばせず。ゲーム差はほとんど変わらないまま、台風による1試合の中止(8日のヤクルト戦・神宮)を挟んで、勝負の1週間を迎えていた。
実は菅野離脱の前日には、ここまで8勝を挙げているC.C.
メルセデス、2日には今季14試合に先発(3勝)の
今村信貴も不調のため登録抹消されており、先発事情は苦しい状況にあった。どうしても落とせない10日のDeNA戦(横浜)の先発には、開幕からクローザーを務め(→失格)、メジャー236試合もすべてリリーフ登板というR.クックを実験的に起用せざるを得ず(中止となった8日のヤクルト戦からスライド)。苦戦が予想されたが(クックは4回途中1失点で降板)、この苦境を救ったのが今季のチームの象徴でもある打線で、長丁場のペナントレースを主軸としてけん引してきた選手たちだった。
苦手としているDeNAの先発・
今永昇太に5回まで1安打に抑えられるも、主砲のバットが試合を動かす。6回二死、
丸佳浩がフルカウントから際どい変化球を見極めて四球で出塁すると、四番・
岡本和真はそれまで苦しめられてきた今永のチェンジアップに反応。外角低めのボールをすくい上げると、打球は左中間席上段へ消える逆転2ランに。「クリーンアップが機能しましたね。四球、そして、本塁打という、理想的というか、本当に数少ないチャンスの中で仕留めてくれた」と
原辰徳監督も絶賛したこの攻撃がすべて。流れを引き寄せると、8回にはエスコバーから無死二塁を作り、
坂本勇人が犠打でチャンスを広げ、丸が犠飛を放って加点、続く岡本が2打席連続のソロで試合を決め、9月1日に1度は消えていた優勝マジック「9」が再点灯した。
翌11日のDeNA第2戦こそ落とすも、12日の同カードでは丸が先制打に中押し、ダメ押しの2本塁で打計5打点の活躍。岡本にもソロが飛び出し、直接対決をカード2勝1敗と勝ち越してマジックを「7」に。13日からの広島との2連戦(東京ドーム)も初戦で岡本が先制打を放つなど、着実にマジックを減らした。

初回に2点を先行すると、一時は1点差に詰め寄られるも、4回には丸の2ラン、続く岡本のソロなどで点差を広げる。8回には丸がこの試合2本目の2ランで突き放し[丸は1人で5打点の活躍]、マジックを2つ減らして「7」とした/写真=桜井ひとし
五番・阿部慎之助
5年ぶりの優勝へ向けて、カウントダウンに突入しているが、8月6日の中日戦(ナゴヤドーム)で6連敗となり、2位・DeNAとのゲーム差が0.5まで詰められるなど、1カ月前には首位陥落の危機もあった。しかし、翌7日の同カードから13試合で11勝(1敗1分け)して再浮上。原監督はこの13試合を首位快走に至った要因に挙げる。
中でも「大きなポイント」としたのが五番・
阿部慎之助の起用だ。実は開幕以降、固定し切れずにいた打順であり、たびたび「五番が問題ですね」と頭を悩ませていた。前日までは
大城卓三、
亀井善行、A.
ゲレーロらを起用したが、7日から13試合中8試合で阿部を起用。その効果を「四番(岡本)を助けた」と指揮官は語る。9月15日現在で打率.301と今季好調の阿部が、若き四番の岡本の後に座ることで、相手バッテリーの警戒が分散することにつながり、また、岡本自身も坂本→丸とつながれた好機を1人で背負い込む必要がなくなり、後ろにつなぐ意識で打席に立つことでスイングから力みが消えた。もともと夏場に調子を上げるタイプの岡本だが、8月は9本の本塁打を放ったうち、8本は阿部が五番に座った7日以降というのは偶然ではないだろう。加えて阿部自身も五番での打率は.313、2本塁打、7打点と結果を出しており、また、亀井を一番に固定できたことで(五番打率は.307も、一番としても.287で貴重な存在)、一番から五番まで切れ目のない打線を組むことが可能となった。
15日の
阪神戦(東京ドーム)に勝利しマジック5に。これまでVへ向けては「まだまだ」と繰り返してきた原監督もついに「またまた、くらい。濁点は取れたかな」と上機嫌で残り10試合に臨む。

8月に入り一気に調子を上げた岡本和真

岡本和真の後の五番に入り、「四番を支えた」と原辰徳監督から高い評価を受けた阿部慎之助